「一緒に学ぼう西本願寺のおつとめ」は、聖典に説かれている内容を学び、一緒に声を出して唱え方を学ぶ講座です。
今年度は、「正信偈」を中心に学びます。講座は「座学」と「実践」の二部に分かれ、前半の「座学」の時間は、総合研究所の研究職員が、「正信偈」に説かれている教えの内容について解説し、後半の「実践」の時間は、おつとめを指導する専門講師が、合掌礼拝などの作法や「正信偈」のとなえ方についてやさしくお伝えします。
第4回「念仏和讃」①
日時 2022(令和4)年10月11日(火) 10:00~11:30
会場 Zoom(オンライン開催)
講師 座学 溪英俊(総合研究所研究員)
実践 桃園裕成(勤式指導所主任)
人数 39名
当日の内容
【座学の内容】
第4回目の座学では、『正信偈』の中、「依釈段」にあたる「印度西天之論家」~「応報大悲弘誓恩」(『日常勤行聖典』17頁~20頁)までの内容について学びました。
1.教えの伝承
「印度西天之論家」から「明如来本誓応機」までのご文では、阿弥陀仏の本願のみ教えを親鸞聖人にまで届けてくださった七高僧について述べられています。
七高僧とは、具さにばインドの龍樹菩薩・天親菩薩、中国の曇鸞大師・道綽禅師・善導大師、日本の源信和尚・源空(法然)聖人の七名を指します。七高僧はいずれも親鸞聖人の先達であり、ともに阿弥陀仏の西方浄土を願われた方々でした。
七高僧はみな、すぐれた著作を残されておりますので親鸞聖人も時代や地域を越えて、七高僧がたの本願のみ教えに対するすぐれた解釈を目にすることができました。そしてそれは、今、お念仏を味わっている私たちまでもいたり届いているというこができましょう。
また、七高僧にはそれぞれに浄土の教えに関するすぐれた見解(発揮)があります。これより以降の「正信偈」のご文で詳しく示されていきますので、順を追って学んでいきましょう。
2.龍樹菩薩の教え
最初に「釈迦如来楞伽山」から「応報大悲弘誓音」のご文では、七高僧のなか、インドの龍樹菩薩のご事績について讃嘆されています。
龍樹菩薩はさまざまな学問を習い「八宗の祖師」といわれるほど、仏教各宗に多大なる影響を与えられた方です。その龍樹菩薩も阿弥陀仏の浄土への往生を願われました。
龍樹菩薩は「悉摧破有無見」といま示されていますように、「有る」ことにも「無い」ことにも、どちらにも偏らないという「八不中道」の教えを説かれました。そして、「宣説大乗無上法 証歓喜地生安楽」とあるように、大乗仏教に帰依し、「歓喜地」と呼ばれる境地に達せられました。そのような境地に達せられた龍樹菩薩も、阿弥陀仏の浄土を願い、往生されたことが示されています。
次に、「顕示難行陸路苦 信楽易行水道楽」と示されるように、仏道には「難行道」と「易行道」の二つの道があることを明らかにされました。「難行道」とは目的地までの道のりを自分の足で歩いていくような険しい道のりであることを明かし、「易行道」とは目的地までの道のりを船に乗って水路で行くような易しい道であると明かされます。
易行道とはまさに、阿弥陀仏よりいただいた信心(信楽)一つでお浄土へと往生させていただくという、他力のお念仏の道に他なりません。このことは次の、「憶念弥陀仏本願 自然即時入必定」という句からも窺うことができます。
そして「唯能常称如来号 応報大悲弘誓恩」では報恩のお念仏について示されます。ここでは、「南無阿弥陀仏」のみ名を称えることが、阿弥陀仏のご恩に報いることになるという、いわゆる「報恩の念仏」が示されます。それは、我が子に自分の名前を呼ばれることが親にとっての喜びであるのと同じように、「必ず救う 我にまかせよ」との呼びかけに応えて念仏申すことが阿弥陀仏にとっても大きな喜びとなるためです。以上のことを、座学の時間で学びました。
【実践の内容】
第4回目の実践の時間では、「念仏和讃」について二重の念仏までを学びました。要点を以下に示します。なお、文中に( )で出される算用数字は、『日常勤行聖典』のページ数を表しています。
1.「念仏和讃」について
・念仏を挟みながら和讃を六首となえる。途中で音が二段階に上がっていく。
・音程が高ければ最初は自分がとなえられる高さでおとなえください。
2.「初重念仏」(36-37)
・出音はハ調レの音
・一句目は「なーも」「あーみ」と1文字目を長く拍を(1.5/0.5)取る。
・一句目、二句目の「陀」などに付された墨譜(はかせ)は箇所によって読み方が異なる。ここは「だー、ああん」と「あ」をのばす。
・三句目、四句目の「阿」は一音上がる
・五句目の「南無」は墨譜に従い音を下げる。
・最後の「南」は2拍分伸ばすが、息継ぎがあるので伸ばしすぎない。
3.「弥陀成仏のこのかたは~」(38)
・息継ぎに注意。経文に息継ぎ箇所に線などを引くと良い。『日常勤行聖典』のご文の左下に「’」と書かれた記号が目安。
・息継ぎせずにとなえられるとしてもリズムを合わせるために必ず息継ぎを行う。
・「このかたは」の「は」にある墨譜は、和讃の一句目にあるものと、念仏や二句目以降にあるものでは形が同じものがあるがとなえ方がちがう。
→最初1.5拍のばす、次に0.5拍下げる、元に戻して2拍伸ばす・「十劫」は「っ」をきちんと発音。「じーこう」とならないように。
・「を」は「おー、おー」と一度切って発音(一句目と墨譜は同じだがとなえ方が異なる)
・「法輪」の「輪(りん)」は3拍。「ん」を発音したらすぐに息継ぎ。
・「照らすなり」の「り」は「落音(おちごえ)」といってとなえながら音を落とす。
4.「智慧の光明はかりなし」(39)
・二首目なので出音はハ調レ。
・「光明(こ/う/みょ/う)」の墨譜は「レ/ミ/ミ/レ」。
・「相」は「そ」が一拍、「う」が2拍。
・「光暁かふらぬ」の「ら」は同じ音を2回繰り返す。「らー、あー」
・「ワル」と書いている文字は、文字一つを濁らず二つに割る(ぎょう→けう など)
・「帰命せよ」は「きみょう」ではなく「きみょー」や「きみょぉ」ととなえる。
5.「二重念仏」(p.40)
・「阿弥陀仏」から「二重」、「ミ」の音になる。「ぶ」は4拍。
・「仏」は「ぶ」と発音する。
・経文に「-」とある部分は息継ぎをしない。
以上のことを実践の時間では学びました。
次回は、和讃の続きについて学んで参ります。