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2022年度一緒に学ぼう 第5回「正信偈」⑤ 講座の内容

「一緒に学ぼう西本願寺のおつとめ」は、聖典に説かれている内容を学び、一緒に声を出して唱え方を学ぶ講座です。  
今年度は、「正信偈」を中心に学びます。講座は「座学」と「実践」の二部に分かれ、前半の「座学」の時間は、総合研究所の研究職員が、「正信偈」に説かれている教えの内容について解説し、後半の「実践」の時間は、おつとめを指導する専門講師が、合掌礼拝などの作法や「正信偈」のとなえ方についてやさしくお伝えします。

第5回「念仏和讃」②

日時 2022(令和4)年10月25日(火) 10:00~11:30
会場 Zoom(オンライン開催)
講師 座学 西村慶哉(総合研究所研究助手)
実践 桃園裕成(勤式指導所主任)
人数 51名

当日の内容

【前回質問への回答】

 前回のアンケートにて「七高僧の絵の並び順は、いつ頃どなたが決定したのですか。」というご質問をいただきましたので、講座内で回答させていただきました。
 結論を先に述べますと、七高僧の絵はどうして現在のような並び順になったのかについて明確な根拠はございません。ただし、蓮如上人の頃には現在のようなかたちの七高僧の絵像が作成されていたこと、その初期形態では曇鸞大師は今よりも右側に位置していたものもあることが判明しています。
 また七祖の絵像については。日下無倫『真宗史の研究』(平楽寺書店、1931)などで詳しく論じられていますので、よろしければご参照ください。

【座学の内容】

 第5回目の座学では『正信偈』の中、「依釈段」天親章・曇鸞章にあたる「天親菩薩造論説」~「諸有衆生皆普化」(『日常勤行聖典』21頁~26頁)までの内容について学びました。

1.天親菩薩の教え

 「天親菩薩造論説」~「入生死園示応化」までは天親菩薩のご功績について示される一段です。
 天親菩薩は非常に多くのご著作(論)を撰述されたことから「千部の論主」とも称されます。そのご著作は後に誕生するさまざまな宗派に影響を与えられました。その中、浄土真宗を開かれた親鸞聖人は、『無量寿経優婆提舎願生偈』(『浄土論』)を重要視されていきました。従ってここで「造論説」という「論」は『浄土論』のことを指しています。

  また、親鸞聖人は主著『教行信証』「信文類」の序文でこの『浄土論』のことを「一心の華文」と讃えられています。天親菩薩は『浄土論』の冒頭において、

「世尊我一心 帰命尽十方 無碍光如来 願生安楽国(世尊、われ一心に尽十方無礙光如来に帰命したてまつりて、安楽国に生ぜんと願ず)」(『七祖篇註釈版』29頁)

 と、阿弥陀さまへの帰依のおこころを吐露されています。口語訳すれば、「お釈迦さま、わたしは一心に阿弥陀さまに帰命しまして、そのお浄土に生まれたいと思います」といった意でしょう。この中に「一心」というお言葉が出てまいります。
 そもそも、私たちはどのようにしてお浄土に生まれていくのか。それは『大経』に説かれた第十八願に示されています。そこでは「至心信楽欲生我国」すなわち「心をいたし」「信楽して」「我が国(お浄土)に生まれたいと欲う」と誓われているのですが、われわれ凡夫にとっては「至心」や「信楽」「欲生」といわれても、どのような心なのか、どのようにすればおきる心なのか、なかなか迷ってしまいます。そこで天親菩薩は、われわれにこれらの心を分かりやすく「一心」と示されているのです。つまり、『大経』では一見、「至心」「信楽」「欲生」と三つの心をおこすことが説いてあるように見えますが、実はこれらの心は「信心」の「一心」のことを説いているのだと示してくださっているのが『浄土論』です。そこで親鸞聖人は『浄土論』を「一心の華文」と表現し、いま『正信偈』で「為度群生彰一心」と讃えられています。

2.曇鸞大師の教え

 「本師曇鸞梁天子」~「諸有衆生皆普化」までは、曇鸞大師のご功績について示された一段です。
 まず、「本師曇鸞梁天子」~「焚焼仙経帰楽邦」までは、曇鸞大師のご生涯の出来事について示されています。曇鸞大師は長生不死を求め、その方法について記す道教の『仙経』を手に入れます。ところが、その帰り道に菩提流志三蔵に出会われた曇鸞大師は、真の長生不死とは阿弥陀仏の浄土に生まれることと気づき、持っていた仙経を焼き捨て、浄土の教えに帰依されたのでした。
 次の「天親菩薩論註解」とは、前述の天親菩薩の『浄土論』を曇鸞大師が註釈(註解)したということです。その註釈した著作は『無量寿経優婆提舎願生偈註』(『往生論註』)と呼ばれるものであり、難解な著作であった『浄土論』の真意を明らかにされました。以降のご文では、この『往生論註』の内容について讃嘆されていきます。
 そこでは「往還回向由他力」と示されるように、阿弥陀さまの救いとは、私が信心一心をいただくことも、お浄土に往生させていただくことも、再びこの世に還り人々を導くことも、すべて阿弥陀さまの本願力の回向によることが示されています。

以上のことを、座学の時間で学びました。

【実践の内容】

 第5回目の実践の時間では、前回に引き続き「念仏和讃」について学びました。要点を以下に示します。なお、文中に( )で出される算用数字は、『日常勤行聖典』のページ数を表しています。

1.「解脱の光輪きはもなし~」(41)

 ・「二重」にあたるのでハ長調ミの音が出音になる。

 ・経文に「●」とあるのは調声人の独吟。複数でとなえるときは注意。

 ・「光輪」は「ミーソーラーミー」と移る。初重の「レーミーミーレー」よりも高く上げ下げがある。「ん」といった後は伸ばさずすぐに切って息継ぎする。

 ・「きはもな」までは同じ音だが、「し」は二重の特徴。最初の4拍は下に下がってあがる。次の4拍は2拍下げて、戻して2拍。本来は息継ぎなしだが、難しければ息継ぎする。

 ・「有無をはなると~」は「ミ」の音から入るので注意。

 ・「平等覚」の「覚(かく)」は清音で濁らない。「びょうどうがく」とならないよう気をつける。

 ・「帰命せよ」の「よ」は落音(前回参照)。よく出てくるので注意。

2.二重念仏(41)

 ・「二句目」「三句目」は息継ぎなしで読む。経文の傍線が目印。

 ・二句目は「仏」の「う」は0.5拍で唱えてすぐに三句目に。

 ・最後の「南(な)」は二拍だが息継ぎがあるので、1拍唱えたら息継ぎ、を意識する

3.「光雲無礙如虚空」(42)

 ・最初の「光」は墨譜が下がっているので、「レ」の音を出してから「ミ」に上がる。

 ・「如虚」は「にょーこー」と同じ音で伸ばす(「ウ」と発音しない)。

 ・「難思議を」は「ぎーをー」と2拍だが、「を」には息継ぎがあるので意識する。

4.二重念仏(42)

・一句目、二句目は「ぶ」だけ音が上がる。

・三句目は「だー」1拍で上がり「あん」1拍で下がる。「ぶ」は2拍。

5.三重念仏(43)

・出音は「ラ」の音

・「だ」は「だあ、あん」と0.5拍で下がり、2拍目で戻す。

・四句目の「南無阿弥陀仏」は定番のフレーズ、形を覚える。

6.「清浄光明ならびなし」(44)

 ・出音は「ラ」の音。

 ・「光(こう)」は「乙」の字を描くように滑らかに音を変化させ、4拍。「みょ」は1拍、「う」が2拍。「ならびなし」の「し」も同じく「乙」。

 ・「遇斯光」出音は「シ」、「一切の」出音は「ファ#」。

 ・「のぞこりぬ」の「ぬ」は「こ」の音と同じでそれ以上下げない。

 ・「畢竟依」の「え」は「え、えー」と唱え直すように読む。

7.三重念仏(44)

 ・先ほどの三重念仏(43)と同じ。

8.「仏光照曜最第一」(45)

 ・「仏光」の出音は「ソ」から。「いち」は「い」が1拍「ち」が2拍。

 ・「照曜」は「せうえう」と割って読む。

 ・「光炎王仏と」は「ぶっとー」と繋げる。

 ・「黒闇」の「闇」は3拍(「あ」が一拍、「ん」が2拍)。

 ・「大応供」の「供」は言い直すように「ぐ、うー」と。

9.回向句(45)

 ・出音は「ミ」、二重と同じ音。

 ・細かい点は次回のまとめで併せて確認。

以上のことを実践の時間では学びました。

次回は、鏧の打ち方なども含めて和讃についてまとめを学んで参ります。