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お坊さんの常識 浄土真宗編
本の紹介
  • 西原 祐治 (にしはら ゆうじ)
  • 出版社・取扱者 : 探究社
  • 発行年月 : 2015年12月20日
  • 本体価格 : 本体1,200円+税

第一章 手紙を書く
第二章 装束を整える
第三章 日本食の作法
第四章 儀礼を知る

「お坊さんの常識」と聞くと、何を想像するだろうか。多くの方は仏教的なことを思うかもしれないが、実は、人前に出る機会が多い僧侶にとって礼儀作法を学ぶことも重要なのである。

しかし、日本の伝統的な礼儀作法は、現在、教わる機会が少なくなっているように思われる。例えば、訪問先の玄関での作法などについて、一から教えてもらったという方はどれほどおられるだろうか。「何となくこれが正しいのでは」と行っていることが多いのではないだろうか。

本書は、浄土真宗の僧侶に必要な礼儀作法を数多く紹介している。いまさら聞けない五条袈裟(僧侶にとって着用する機会が多い袈裟)の威儀(袈裟を結ぶ紐)の結び方や袴をたたむ手順など、写真や図を使い、分かりやすく説明されている。また、知らないと迷う掛軸や桐箱の紐を結ぶ方法など、細かい作法についても掲載されているところがありがたい。礼儀作法を確認したい僧侶の方にはもちろんのこと、これから僧侶をめざす方にも是非読んでいただきたい本である。

なお、本書の題に「お坊さんの常識」とあるが、内容は「お坊さん」だけに限定されるものではない。普段あまり気にしていないお箸の使い方や、客間・応接間・自動車・電車の席順など、門信徒の方々にも十分役立つ内容である。礼儀作法を身につけ、様々な場面で「不作法」とならないために必読の一冊である。


評者:楠 正照(浄土真宗本願寺派総合研究所研究助手)


掲載日:2016年8月10日