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ブッダも笑う 仏教のはなし
本の紹介
  • 笑い飯 哲夫 (わらいめし てつお)
  • 出版社・取扱者 : サンマーク出版
  • 発行年月 : 2016年1月10日
  • 本体価格 : 本体1,300円+税

はじめに
第一章 仏教はここから始まった-お釈迦さんってどんな人なん?
    コラム1 仏とクリスマスとクリスマス・イブ
第二章 仏教はこんなこと言ってはるんです
第三章 日本の仏教ってこないなってるんです
第四章 笑い飯哲夫流 ブッダも笑う仏像とお寺の話
    コラム2 青春の睨みをきかせる仏像
第五章 仏教ってこんなとこにもあるんです
おわりに

大衆芸能の中で、仏教や僧侶は笑いのネタにされることがある。著者は漫才師なので、本書も仏教を笑いのネタにしたものかと思いきや、しっかりとした仏教の入門書である。お釈迦さまや仏教の歴史、教えの内容、日本の仏教、お寺と仏像について等々、仏教について学ぶとき、押さえておきたい点がよくカバーされている。

本書は、著者の軽快な語り口とユニークな例え話によって、飽きることなく読むことができる。例えば「中道」を「ちょうど間」と説明する。「苦行しすぎてもあかんし、楽をしすぎてもあかんということです」と述べる。ここで終われば普通の解説書であるが、その後に「ラーメンばっかり食べすぎてもあかんし、ラーメンを食べなさすぎてもあかん」と続く。「車を運転する時に、よく中道ってええなあと思います。なぜなら、速すぎず、遅すぎず、中ぐらいのスピードで走ってる時が一番気持ちいいからです。あ、今これ中道やってるわあ、と思って顔をにやつかせています」と、著者の実体験であろうエピソードも語られ、車を運転したことのあるものは共感しながら読みすすめることができる。

入門書などと銘打たれていても、多くの仏教解説書は堅苦しいものがほとんどである。2009年に発売された、著者の『えてこでもわかる笑い飯哲夫訳般若心経』は、読者を笑わせようとネタを盛り込み過ぎた感が強かったが、本書はその「ちょうど間」といったところだろうか。くすりと笑いながら、仏教について学べる一冊である。


評者:溪 英俊(浄土真宗本願寺派総合研究所研究助手)


掲載日:2016年7月11日