- 出版社・取扱者 : 本願寺出版社
- 発行年月 : 2013年3月15日
- 本体価格 : 本体1,600円+税
目 次 |
発刊にあたって お斎を家庭料理に取り入れるヒント 『六味五法』でバランスのよい献立作り 季節のお膳 春 夏 秋 冬 ご飯もの 汁もの 煮もの もどき料理 炒めもの 揚げもの 和えもの 酢のもの サラダ 練りもの 豆腐変化 箸やすめ 菓子 精進だしの作り方 野菜の下ごしらえ 本書の原則 本向寺のお斎作り体験記 杉本家の『歳中覚』と報恩講のお斎 食事の言葉 インデックス あとがき 公益財団法人奈良屋記念杉本家保存会について 本願寺のお斎 |
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インターネット上でも手軽にレシピが検索できる今日、料理レシピ本の存在意義が問われている。最近では健康ブームを背景に、体重計メーカーの社員食堂本のヒットが記憶に新しい。本書は健康食の大本命「精進料理」を、料理研究家・杉本節子さんのアレンジで再解釈した異色のレシピ集である。京都の家庭料理「おばんざい」を基本としながら、”もどき”料理や洋食などバリエーション豊かな精進料理が紹介されており、若い人や子供にも喜ばれそうな現代風のアレンジに驚かされる。しかも、高価な食材ではなく、旬の野菜など親しみやすい材料を中心としており、普段の食卓にも取り入れやすい。
また、本書は単なるヘルシーレシピ本では終わらない。古来、仏教では、すべての生き物の生命を尊重する「不殺生戒」を掲げてきた。その精神をもとに精進料理が作られるようになり、それは今日も、仏事でふるまわれる食事「お斎(とき)」の伝統が受け継がれている。本書の随所に、いま生かされていることをよろこび、あらゆる”いのち”に感謝するこころを次代へ伝えたいという著者の使命感が感じられる。その意味で、心身共に豊かな食生活を送るための、”大人の食育本”としての味わい方もできるであろう。
評者:加茂 順成(浄土真宗本願寺派総合研究所研究助手)
掲載日:2013年6月10日