- 出版社・取扱者 : 筑摩書房(ちくま新書)
- 発行年月 : 2010年5月10日
- 本体価格 : 本体740円+税
目 次 |
はじめに−日本という宗教風土と仏教 第一章 ブッダとダルマ−仏教を実感するとき 第二章 縁起・空、そしてこころの変革 第三章 仏教の変容と救済−インドから中国・日本へ 第四章 法華経−現世に向き合うとき 第五章 浄土教と日本人の霊魂感 第六章 華厳経の現代−その世界観・生命観 終章 いのちという身体感覚 あとがきにかえて |
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著者はアジア宗教・文化研究所代表の久保田展弘氏。フィールドワークを行いながら、一神教・多神教世界を様々な視点から捉えようとしている。
著者は仏教教義は論理だけでは納得し得るものではなく、身体感覚によってはじめて腑に落ちるものだと考え、本書で、身体感覚という視点から仏教の思想史を読み解こうとしている。言葉を論理的にたどるだけでは仏教を理解するには足りず、坐禅や称名念仏などを行う際の身体感覚を通じて、はじめて「仏教が心身に響いてくる」(15ページ)と著者は言う。
仏教の教えの中で特に著者が関心を寄せているのは「縁起」である。他のものとの関わりの中で自分があることを身体感覚によって納得することが、他者のいのちを愛おしむことにつながる。そして、そこに、無縁化が進む現代社会の問題を解きほぐす可能性を見出している。
評者:鈴木 健太(教学伝道研究センター元研究助手、北海道武蔵女子短期大学専任講師)
掲載日:2010年8月10日