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東大卒僧侶の「お坊さん革命」 お寺は最高のエンタメ発信地
本の紹介
  • 松本 圭介 (まつもと けいすけ)
  • 出版社・取扱者 : 講談社(講談社+α新書)
  • 発行年月 : 2010年3月20日
  • 本体価格 : 本体838円+税

はじめに
第一章 お寺を変える実践~お寺カフェ/お寺の音楽会/バーチャル寺院
第二章 仏教コンテンツは21世紀の成長産業    
【コラム1】人生は賭けの連続
第三章 私がお坊さんになった理由~「在家の僧侶」という生き方
第四章 日本仏教界の現状~飛び込んだ僧侶が見たもの    
【コラム2】お坊さんに頼むこと
第五章 お寺の経営論
第六章 未来のお寺への提言~無限の可能性を引き出そう
【コラム3】問題解決屋さんとの対話
第七章 世界の未来を切り開く仏教の技術
おわりに

著者は東大新卒でお寺の世界に飛び込んだという異色の経歴を持つ、浄土真宗の僧侶。お寺の中でのカフェスペース「神谷町オープンテラス」の運営、音楽会「誰そ彼」の開催などで広く知られている。

本書は、そのような活動の実績を持つ著者が、自身の体験や考察に基づいて記した、「日本のお坊さんへの応援メッセージ」(4ページ)である。著者は、日本仏教の現状や問題点を指摘しながらも、今後のお寺のあり方には、「無限の可能性」があり、仏教というコンテンツは「21世紀の成長産業」(48ページ)となりうると述べる。

著者は、私たちを取り巻く世界自体が大きな変化の時期を迎えている中にあって、仏教が「生きた宗教」であるためには、お坊さんが時代の変化を見極めて柔軟に対応していくことが必要であると説く。その際、本書で紹介されているような活動・アイディアは、大きな参考になるだろう。仏教の可能性に対する著者の思いが伝わってくる一冊である。


評者:網代 豊和(教学伝道研究センター研究助手)


掲載日:2010年8月10日