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共に在りて 陸前高田・正徳寺、避難所となった我が家の140日
本の紹介
  • 千葉 望 (ちば のぞみ)
  • 出版社・取扱者 : 講談社
  • 発行年月 : 2012年3月8日
  • 本体価格 : 本体1,400円+税

序章 波の夢
第一章 生きていてください(東京/陸前高田/避難所となった我が家)
第二章 大災害と死(避難所のルール/白骨の御文/さまざまな支援)
第三章 仏教者にできること(慈恩寺/岸野亮哉さん/野村俊明さん)
終章 その後
あとがき

著者の千葉望氏はノンフィクション・ライター。日本の伝統文化、クラシック音楽、アートなどを中心とした執筆活動を行っており、雑誌『AERA』の人物ルポルタージュ「現代の肖像」欄での執筆でも知られている。

本書は、著者の実家であり、東日本大震災で被災した正徳寺(陸前高田市・真宗大谷派)とその周囲の人々、ならびに被災地で奮闘する仏教者たちの姿を追ったルポルタージュ。題名の「共に在りて」は、著者が、「被災地に生きた宗教関係者すべての気持ちを表したいと考えた時に思いついたもの」(あとがき)であるという。

マスメディアにおいて、宗教に関する事柄は、中立・公平性の原則などを慮った結果、紋切り型な内容として扱われる、あるいはそもそもニュースなどで取り上げられないことが多く、震災後の被災地における仏教者たちの活動もその例に漏れない。その意味において、被災地での仏教者達の奮闘を伝える、本書の臨場感あふれる叙述は非常に貴重である。


評者:江田 昭道(浄土真宗本願寺派総合研究所委託研究員)


掲載日:2012年08月10日