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はじめたばかりの浄土真宗
本の紹介
  • 内田 樹 (うちだ たつる)
  • 釈 徹宗 (しゃく てっしゅう)
  • 出版社・取扱者 : 角川学芸出版(角川ソフィア文庫)
  • 発行年月 : 2012年5月25日
  • 本体価格 : 本体590円+税

その1 仏教における「悪」−悪人正機/悪人正因−
間狂言1
その2 「悪人」論−空中浮揚とアブラハム
その3 宗教と倫理
その4 さらに「宗教と倫理」
その5 常識と宗教
その6 あとがきに代えて
<対談> いま、日本の仏教を考える
もうひとつのあとがき(釈 徹宗)
文庫版あとがき(釈 徹宗)

本書は、内田樹氏(神戸女学院大学名誉教授)が浄土真宗を学ぶにあたり、釈徹宗氏(如来寺住職、相愛大学教授)と交わした往復書簡を書籍化した『インターネット持仏堂2 はじめたばかりの浄土真宗』(本願出版社、2005年)の文庫化である。

内田氏は「浄土真宗の中心的論件」(35ページ)として悪人正機を取り上げ、宗教的な「救い」の対象と自らを自覚した悪人の行為が、必ずしも「倫理」的ではない側面を問題とし、釈氏との対話が深められていく。両氏とも、自身の自由な想いから文章が展開するため、多々脱線はするものの、「宗教と倫理」を中心に語られる大変興味深い内容である。また、内田氏の思想に対し、釈氏の返答には浄土真宗的「倫理」感の紹介もなされている。

「はじめたばかりの」と題目に掲げられているが、奥深いところにも話が及び、読んでいて考えさせられる箇所も少なくない。しかし、両氏の口調そして書簡という性質上、読みやすく手軽な本となっている。


評者:網代 豊和(浄土真宗本願寺派総合研究所研究助手)


掲載日:2012年08月10日