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コラム伝道 / 中高生に対する法話はむずかしい?

中学生・高校生に対する法話は難しいという話はよく聞く。

少し古いが、平成9年に出版された『宗教と教育』(國學院大學日本文化研究所編)所収の調査によると、仏教関係、キリスト教関係の高校生で、3年間宗教教育を受けた生徒の約半数はその宗派に関心を持ち、1割強の生徒がその宗派の教えを信じるという結果が出ている。一方で、特定の宗派、宗教の場合は、ほぼ100パーセントの生徒がその宗派、宗教の教えを信じるという結果が出ている。

上のことから、高校生が関心を持てるような真宗教学の表現とは、高校生がお参りしてみたいお寺とはどのようなものかなど考えなければならない課題は多くあることがわかる。その一方で、高校生は宗教に関心がない訳ではないことも分かる。

また、大谷派の碩学、金子大榮師は「宗教は青年のものです」とある著述で述べられていたが、青年期に触れる宗教はその人の人生に大きな影響を与える。

このような中で中高生にどのような、またどのように法話をすればいいのかは確かに難しい。

筆者は高校で宗教科の教員をしていた。法話でも授業でもいつもうまくいっていたわけではないのでこれをすればいいと勧めるものはなく、失敗はいくつもある。教員になり始めの頃、たとえば信心の話にせよ、浄土の話にせよ、「あの生徒はこんな話は信じないだろう」と思って話すと、特定の生徒だけでなく、クラス全体の反応が鈍かったと記憶している。また、生徒の反応を気にすることが原因であっても、話の内容が原因であっても、躊躇したり、自信なさげな態度になると、生徒は基本的には聞いていない。

若い時に宗教に関心を示す人は多くいる。布教使を志す僧侶はいつ頃、宗教に関心を持ったのだろうか。大概は青年期であるはずだ。自分がどんなところに魅力を感じ仏教、真宗を学ぼうと思ったのか。そこに眼を向けて話すと、生徒も関心を持って聞くはずである。

生徒は本物と偽物、話し手が真実と思っているか、そうでないかは良く見抜く。その点で自分が確かにその通りだと考えることを話すことが大切である。

自分が中高生の時に「いいな」と感じたものは、今の中高生も良いと感じるものである。自分は寺院出身だから仏教に関心を持ったのだろうと自分を特別視しない方がいいと思う。寺院出身だから、そうではないからといって、関心をもつ話題がそれほど異なる訳ではない。後は、生徒におもねることなく、分かりやすく話をすればいいと思う。

2010/12 教学伝道研究センター委託研究員 村上泰順