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例話の紹介 / (3)尺蠖(しゃっかく)・蚕繭(さんけん)のたとえ
仏本この荘厳清浄功徳を起したまへる所以は、三界を見そなはすに、これ虚偽の相、これ輪転の相、これ無窮の相にして、蠖  屈まり伸ぶる虫なり  の循環するがごとく、蚕繭  蚕衣なり  の自縛するがごとし。あはれなるかな衆生、この三界に締  結びて解けず  られて、倒・不浄なり。

(『往生論註』、七祖註釈版57頁)

【概要】

阿弥陀如来が法蔵菩薩であったとき、本願を起された理由は、迷いのなかにある衆生をご覧になり、深く哀れまれたからであると説かれています。このなかに、如来がご覧になった私たち衆生の倒・不浄のすがたが、蠖と蚕繭のたとえによって示されています。

【解説】

  • 蠖とは尺取り虫のことです。尺取り虫が同じところを何度もめぐるすがたにより、自らの力ではいつまで経っても迷いの世界から抜け出ることのできない私たちのすがたがあらわされています。
  • ・蚕繭とはかいこのまゆのことです。かいこが自らのまゆで自らの体をしばるすがたにより、自らの煩悩によって、自ら迷いの苦しみを生み出している私たちのすがたがあらわされています。
  • 倒とは逆さまという意味です。真実とはまるで反対の私たちのあり方を表わしています。一方、真実に即した不倒の智慧を具えておられるのが阿弥陀如来です。

【補足】

  • ・尺取り虫を見下ろしている私たちには、同じところをめぐっていることが一目瞭然であっても、尺取り虫にはそのことが分からず、前に進んでいるつもりなのかもしれません。
  • ・真実からのはたらきによらなければ、逆さまである自らの姿にさえ気がつかないのが私たちの迷いのすがたです。如来はそのことを見通した上で救いの法を成就されました。