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例話の紹介 / (1)七子のたとえ

たとへば一人にして七子あらん。この七子のなかに一子病に遇へば、父母の心平等なら
ざるにあらざれども、しかるに病子において心すなはちひとへに重きがごとし。大王、如来もまたしかなり。

(『教行信証』、註釈版279頁、『涅槃経』引用文)

【概要】

たとえばある者に七人の子がいたとして、七人の子のなかで一人が病気になれば、親の心は平等でないわけではないけれど、その病気の子にはとくに心をかけます。この七子のたとえには、もっとも苦しんでいる者こそ救わずにはおれないという如来の慈悲心が表わされています。

【解説】

  • ・どのような行によっても迷いを離れることのできない煩悩具足の私たちのことが、病の子によってたとえられています。
  • ・七人の子には、みなともに健やかであって欲しいという父母の平等で温かな願いが向けられています。しかし、七人の子のなかで、とくに重い病いを患う子がいれば、父母の心はまずその子どもに向けられるでしょう。
  • ・このたとえを通して、如来の慈悲は平等であるからこそ、煩悩具足の悪人(私たち)こそを救いのめあて(正機)としてはたらいておられることが、示されています。

【補足】

  • ・如来の慈悲が、いま苦悩している者に焦点を結んでいることは、「諸仏の大悲は苦あるひとにおいてす」(七祖註釈版312頁)などとも示されています。
  • ・「平等」には因を平等にすることと、果を平等にすることがあります。如来の慈悲が「平等」という
    のは、あらゆるものに同じ仏果を開かせようという心です。