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正信偈のこころ
本の紹介
  • 梯 實圓 (かけはし じつえん)
  • 瓜生津 隆真 (うりゅうづ りゅうしん)
  • 中西 智海 (なかにし ちかい)
  • 芦屋仏教会館 (あしやぶっきょうかいかん)
  • 出版社・取扱者 : 自照社出版
  • 発行年月 : 2009年6月7日

「正信偈」の序説-序文と題号-(梯 實圓)
信行不二と一味の救い(瓜生津 隆真)
教えのながれ-七高僧の教説-(中西 智海)
あとがき(瓜生津 隆文)

本書は、浄土真宗のお勤めで用いられている「正信偈」をテーマとした、浄土真宗の教えに精通した3名の講師による連続講座の記録である。「正信偈」は、親鸞聖人の主著である『教行信証』に収められており、浄土真宗の教えの要が示されている。

まず梯實圓・本願寺派勧学が、「正信偈」の造られた理由について論じている。梯氏は、親鸞聖人における阿弥陀如来の本願の見方や、本願に誓われている信心と念仏の意味を明らかにし、「正信偈」を「如来よりたまわった信心と念仏(行信)のいわれを讃嘆する偈(詩)」と位置づけている。

また瓜生津隆真・京都女子大学名誉教授(教学伝道研究センター顧問)は、信心と念仏の関係を問題とし、「お念仏が信となり、信がお念仏となる」と論じている。さらに中西智海・本願寺派勧学は、「正信偈」の中に説かれているインド・中国・日本の7人の高僧(七高僧)の教えの特徴とその展開に重点を置いて述べている。

本書は、浄土真宗の教えが凝縮された「正信偈」を学びたい方へお薦めの一冊である。


評者:前田 壽雄(教学伝道研究センター研究員)


掲載日:2009年12月10日