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季刊せいてん no.118 2017 春の号
  • 著者: 浄土真宗本願寺派総合研究所編
  • 刊行年月: 2017/3
  • サイズ: B5判
  • ページ数: 66ページ
  • 価格: 本体637円+税
  • 出版社・取扱者: 本願寺出版社






●特集 知られざる 親鸞聖人渾身の書 『西方指南抄』ガイド
  「現存最古、親鸞真筆」
  「八十代半ば、驚異の筆力」
  「『西方指南抄』の構成」
  「〈年表〉法然聖人のお姿をともに仰いで」
  「法然聖人のご説法が本になりました」
  「読みどころダイジェスト」
  「『西方指南抄』が全部読める! 新刊『浄土真宗聖典全書』三 宗祖篇下」

『西方指南抄』は、法然聖人の法語や伝記、お手紙などを集めた書物(遺文集)で、親鸞聖人が八十四~八十五歳のときに書写された真筆本(全六巻)が現存しています。親鸞聖人の直接のご著作ではないということもあり、『教行信証』や「三帖和讃」に比べてあまり知られていませんが、質・量、その他さまざまな面で、実は最重要の聖典のひとつなのです。『西方指南抄』が織りなすお念仏の道を、一緒にたどってゆきましょう。


●はじめの一歩Ⅰ 真宗〈悪人〉伝⑦ 井上見淳
  「唯善(上)」

教団史上「悪者」とされてきた人物たちの人生を通して、ちょっと違う角度から真宗の歴史と教えを学ぶシリーズ。今回の主人公は、親鸞聖人の孫であり、覚信尼さまの息子であり、そして、聖人のお墓が本願寺という寺院に成っていく前夜に起きた骨肉の争いの中心人物である、唯善です。二回連続の上篇では、生い立ちと、結果的に唯善に深い傷を残すことになった、母・覚信尼さまの決断を中心に描きます。


●はじめの一歩Ⅱ 幸せってなんだろう―悪人正機の倫理学―(新) 藤丸智雄
  「ちょい悪がなぜモテるのか?」

「幸せ」って、一体何なのでしょう?昔、そんなテレビコマーシャルがありました。誰もがそうありたいとねがうものでありながら、どこか曖昧で漠然としている、「幸せ」。その「幸せ」を常に問い、「何をなすべきか」「どう生きればいいのか」を考え続けてきたのが宗教や倫理学です。本連載では、「悪人正機」という特殊性を持つ浄土真宗という宗教を中心に据えながら、古今東西の宗教や倫理学の知見を通じて、「幸せ」について考えていきます。まずは、「ちょい悪がなぜモテるのか?」という問いをきっかけに、「倫理学のはじまり」までさかのぼってみましょう。


●聖典セミナー 『歎異抄』⑨ 矢田了章
  「第八条」―念仏は非行非善

『歎異抄』研究をライフワークとされている矢田了章先生による『歎異抄』講座。念仏は行でも善でもない―親鸞聖人の鋭い言葉にあふれている『歎異抄』の中でも、この第八条冒頭は、言葉が簡潔明瞭なだけに、仰っていることの大胆さが際立っているようにも思われます。この言葉を、浄土教の常識をひっくり返す暴論と受けとめるか、それとも浄土教の根本と受けとめるか。鍵となるのは、念仏の方向性。念仏はどこから現れて、どこに向けられているのかを確かめつつ、味わってゆきましょう。


●せいてん誌上講演 「正信偈」⑰ 梯 實圓
  「道綽禅師(2) 救われない理由」

故・梯實圓和上による「正信偈」の講演録。「なぜ念仏を称えていても救われないのか。迷うとはどういうことなのか」。このような問いが起こる根本的な原因を示し、真実信心のあり方を解明したのが、道綽禅師の「三不三信」の教えでした。多くの方が抱えている疑問の答えを、道綽禅師のお示しに学びます。


●もう1人の「親鸞」(新) 黒田義道
  「親鸞聖人ご出家の物語」

「宗祖」として様々に描かれてきた親鸞聖人に関する伝説的物語をクローズアップして、その物語を語り継いだ人々の心をうかがう真宗史入門です。学術的に明らかにされている「もう少し知りたい」情報もご紹介しています。今回のテーマは、「明日ありと……」で知られる「親鸞聖人ご出家の物語」です。


●ジョード・シンシュー・アイスブレイク⑦ タカシ・ミヤジ
  「Welcome to the Hongwanji!」

アメリカ出身のミヤジ先生が、現地で実際に使われている浄土真宗の言葉をフレンドリーに紹介するコラム。2016年10月から始まり、2017年3月から後半に入る、本願寺の「伝灯奉告法要」。この法要の名称や意義は、英語でどのように説明されるのでしょうか。法要期間中、さまざまな国から来た方々のご案内を担当したミヤジ先生から、その経験も交えて解説してもらいます。


●聖典こぼれ話⑦ 東光直也
  「聖典“古慕例”話」

日々、聖典の文字を見つめ続けている総合研究所の聖典編纂担当の面々が、聖典にまつわる興味深くユニークな情報を交代でご紹介していきます。今回のタイトルの漢字に違和感をもたれた方は多いでしょう。実際のところ、この「古慕例」という漢字には、特に意味はありません。今回は、そんな漢字の表記の仕方がテーマです。


●法語随想 悲しみとともに(新) 溪 宏道
  阿弥陀如来の本願は かならず救うまかせよと
  南無阿弥陀仏のみ名となり たえず私によびかけます

生きていると、消えることのない深い悲しみを経験することがあります。そんな悲しみに寄り添ってくださる阿弥陀さまのお慈悲を、聖典の言葉から味わう法話のコーナーです。今回から4号にわたり、山口県の溪宏道先生にご担当いただきます。


●読者のページ せいてん質問箱⑤ 能美潤史
  「『御文章』の文体はちょっと変?」

仏教・浄土真宗の教えや仏事に関する読者の皆さまの身近な疑問にお答えするQ&Aコーナー。担当は龍谷大学専任講師の能美先生です。蓮如上人が製作され、以来、五百年以上にわたって拝読されてきた『御文章』。暗唱できるほどに慣れ親しんでいる方も多いことでしょう。ところが、その『御文章』の文体はちょっとおかしいという人がいるのです。大丈夫なのでしょうか?


●人ひとみな いろ、といろ(新) とよだまりさ
  「黄色の葉っぱ」

今号から、NHK連続テレビ小説ドラマ『純と愛』『てっぱん』で絵画指導を行うなど多方面で活躍中の、とよだまりささんのエッセイをお届けします。とよださんが描く、いろどり豊かな、かわいらしいイラストも必見ですよ。


●お寺はいま 大阪府南河内郡・観念寺
  「お寺の出前」

ユニークで工夫をこらした活動を行うお寺を紹介する取材記事。寺院活動のヒントがつまっています。今回は、昔ながらの紙芝居を通じて、多くの人の心に安らぎをもたらし、医療・福祉・宗教の連携を目指しているご住職の活動を取材しました。


●西の空 心に響くことば
  「小さな花」(榎本栄一)

心に響く言葉を美しい写真とともに味わう、ほっと一息つくことのできるコーナー。今号から、素朴な言葉で人生のまことをうたった「市井の仏教詩人」榎本栄一さんの詩をお届けします。