目 次 ・ 収 録 内 容 |
●特集 私の名著 「本と人生」 森田眞円 「私の1冊」 徳永一道 紫藤常昭 丘山 新 梯 信暁 満井秀城 藤丸智雄 清基秀紀 星野親行 石田智秀 苅屋光影 大原実代子 黒田義道 吉村隆真 佐々木隆晃 井上見淳 野呂 靖 能美潤史 タカシ・ミヤジ 編 集 室 〈コラム〉マンガに名著あり 「妙好人」の名著 〈時代を画した名著〉『歎異抄聞記』 編集作業をしていると、いろいろな本に出会います。未知の世界を知らせてくれる本、長年の疑問を解いてくれた本……。良い本との出会いというのは、ほんとうにうれしいものです。今号の特集では、各方面でご活躍の皆様に、それぞれの「名著」について語っていただきました。よく知られた名著から意外な名著まで、先生がたの個性がにじみ出たセレクトになっています。ご一緒に、名著をめぐる旅に出かけましょう。「あなたの名著」が見つかるかもしれません。 ●はじめの一歩Ⅰ 真宗〈悪人〉伝⑥ 井上見淳 「慈信房善鸞(下)」 教団史上「悪者」とされてきた人物たちの人生を通して、ちょっと違う角度から真宗の歴史と教えを学ぶシリーズ。慈信房善鸞編の後半です。父・親鸞聖人からの秘伝を騙り、一線を越えてしまった善鸞大徳。それは、仏法が破壊されるのは内部からであるという「獅子身中の虫」の譬えそのままの様相でした。そしてついに、父の生命である本願の教えを否定した大徳は、義絶を宣告されます。帰るべきところを失った大徳の心の内を、その後の逸話も交えて探っていきます。 ●はじめの一歩Ⅱ 「物語」で読み解く仏教(終) 野呂 靖 「一生不犯 その二」 説話集を通して学ぶ、新しい仏教入門。これまで、お酒や性など、出家者らしくないと一般的には思われるであろう問題に振りまわされる僧たちの「物語」をたびたびご紹介してきました。このような「物語」の背景には、日本仏教と戒律との独特な関係がありました。その歴史を、最澄がもたらした大きな転換点を中心にうかがいながら、東大寺の学僧・宗性による生々しい破戒の事例や、親鸞聖人が示された「無戒」という立場の意味を合わせ考え、連載の結びといたしましょう。 ●聖典セミナー 歎異抄⑧ 矢田了章 「第七条―念仏者は無礙の一道」 『歎異抄』研究をライフワークとされている矢田了章先生による『歎異抄』講座。「念仏者は無礙の一道なり」という親鸞聖人のお言葉は、さわり多きこの世を生きる私たちに大きな安心感を与えてくださいます。でもよく考えると、「念仏者が道である」という文意は理解しづらいものです。はたしてこの言葉はどのように読むべきなのでしょうか。 ●せいてん誌上講演 正信偈⑯ 梯 實圓 「道綽禅師(1) 末法を生きる」 故・梯實圓和上による「正信偈」の講演録。どんなに立派な教えでも、時代と、自分の能力にふさわしくなければ、絵に描いた餅に過ぎません。中国・南北朝時代の末期、苛烈な仏教弾圧や求道への迷いを経た末に曇鸞大師の事績と出遇い、「末法」の時代と、そこに生きる愚かな人間にふさわしい真実の教えを明らかにされた一人の高僧がいました。その名は道綽禅師。その教えを、「浄土門」といいます。 ●和讃で学ぶ浄土真宗(終) 佐々木隆晃 「念仏者の生活」 「和語の『教行信証』」と呼ばれる和讃を通して、8回で浄土真宗をまるごと学んでしまおうという、すこし欲張りな「浄土真宗入門」です。最終回のテーマは、「念仏者の生活」。阿弥陀仏の大いなる慈悲に出遇い、浄土への道を歩む者にはどんな生活がめぐまれるのか、「恩徳讃」を通して味わいます。 ●ジョード・シンシュー・アイスブレイク⑥ タカシ・ミヤジ 「腹の底までライオンズ・ロア」 アメリカ出身のミヤジ先生が、現地で実際に使われている浄土真宗の言葉をフレンドリーに紹介するコラム。アメリカのお寺の日曜礼拝では、日本と同じように漢字の音読みでお経のおつとめをします。音読みのおつとめは、大人でも聞いてそのまま理解するのは難しいもの。子どもであればなおのことです。ミヤジ先生も昔は難しいおつとめが嫌で、お経のある一節でちょっぴり悪ふざけをしながら気を紛らわせていました。さてさて、いま先生はその一節をどのように味わわれるのでしょうか。 ●聖典こぼれ話⑥ 野村淳爾 「まさに紙一重!」 日々、聖典の文字を見つめ続けている総合研究所の聖典編纂担当の面々が、聖典にまつわる興味深くユニークな情報を交代でご紹介していきます。「何事にもミスはつきもの」と言いますが、聖典の編纂(編集)作業も例外ではありません。なかには、笑い事では済まされない、冷や汗もののミスもあるのです。 ●法語随想 悲しみとともに(終) 吉村隆真 「生死出づべき道をば、ただ一すぢに仰せられ候ひしを、 うけたまはりさだめて候ひしかば……」 全国的に活躍されている布教使の吉村隆真先生のご法話の最終話です。正しく生きたいのに、なかなか理想通りに生きることのできないわが身の悲しみ。そんな私のことを、私以上に悲しみ包み込んでくださる阿弥陀さまの大きな慈悲。親鸞聖人の求道のお姿を通して味わいます。 ●読者のページ せいてん質問箱④ 能美潤史 「親鸞聖人の秘密の書き込みって何?」 仏教・浄土真宗の教えや仏事に関する読者の皆さまの身近な疑問にお答えするQ&Aコーナー。担当は龍谷大学専任講師の能美先生です。2004年5月、真宗大谷派に所蔵される親鸞聖人のご真筆『教行信証』(坂東本)の解体修理中、偶然にも、かすかに凹んだ文字のような痕跡「角筆」が発見され話題になりました。その後、精緻な調査を経て、昨年ついにその全貌があきらかにされました。いったい何が書かれていたのでしょうか。 ●人ひとみな あなたがいれくれるから(終) 白鳥ちあき 「無花果の木」 瀬戸内海の周防大島で、僧侶、シンガーソングライター、手作りジャム専門店の副店長と、多方面で活躍されている白鳥ちあきさんのエッセイをお届けしています。白鳥さんのジャム店に果物を出荷する島の農家の方たちの中には、お寺のご門徒もたくさんおられます。今回は、農家のご門徒さんの無花果(いちじく)の木にまつわるお話です。 ●お寺はいま 広島県広島市・善正寺 「つながりを生む〈家庭法座〉」 ユニークで工夫をこらした活動を行うお寺を紹介する取材記事。寺院活動のヒントがつまっています。今回は、仏法とのご縁・ご近所同士のつながりを生む、ご門徒主催の「家庭法座」を取材しました。 ●西の空 心に響くことば 「生死」(鈴木章子) 心に響く言葉を美しい写真とともに味わう、ほっと一息つくことのできるコーナー。「…私の死を縁として、今のこの私の充足が子供達にも訪れることが私の不思議な現状を通じて、明らかでありますので、死ぬこともまた生きて共にすることと同じく有意義なことだと満足です」(鈴木章子『癌告知のあとで』より)。死を見つめ続けた章子さんの瞳には、生と死を包む大きな世界がうつっていました。今号の言葉は、病のなかにありながらも、おだやかな心境が綴られた「生死」です。 |
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季刊せいてん no.117 2016 冬の号 |