- 出版社・取扱者 : KADOKAWA
- 発行年月 : 2014年9月25日
- 本体価格 : 本体1,300円+税
目 次 |
はじめに 1 死ぬってどういうことですか? いつかは死ぬ。死ぬことを考えたら生きることが見えてくる 2 こだわるな!手ばなせ! もっと認め合い許し合い譲って生きよう 3 子育てってエンタテイメント 少子化問題は政策ではなく流行にして解決 4 特別編1 ホリエ講義「長生きは歯のケアが基本」 5 生きてるだけでなんとかなるよ ろくに努力もしないで、絶望するな! 6 今って不景気?好景気? 働くこと、辞めること、やり直すこと 7 特別編2 原子力発電をめぐって「原発、この憂うべきもの」 8 戦争、するの?しないの? もはや戦後ではない。戦前だ!? 9 国家権力に気をつけよう 軍部より恐いもの、それは「検察」 あとがき |
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瀬戸内寂聴さんが出版社の編集者から対談相手の希望をたずねられたとき、真っ先に名前を挙げたのがホリエモンこと堀江貴文さんだった。
本書は、「死ぬのが恐くて仕方ない」ホリエモンと、「ここまで生きたら、いつ死んでもいい」という寂聴さんの対談集。経済と文学、それぞれ異なる世界で活躍する2人の膨大な知識と経験は「死」から始まり、こだわり、健康、努力、プライド、景気、戦争、国家権力と多岐に広がっていく。年齢差50歳の2人だが、なぜか意見がかみ合うことが多く、読んでいて小気味好い。
タイトルにもなっている「死ぬってどういうことですか?」では、「死っていきなりやってくる」「死にたくなくても死ななければならない」「愛する人に死なれることが一番つらい」などと語り合っている。対論の1項目であるものの、本書の貫かれたテーマになっているのは、死を考えることが、どう生きるかを考えることになるからである。
2人の意見はおおむね一致したが、真っ向から対立したのは「原発」と「戦争」についてであった。共に未来を憂いているが、寂聴さんは「いのち」の観点から、ホリエモンは「経済」の観点から語る。
いまや全国民の4人に1人が65歳以上の超高齢社会となった日本。身近に死が感じられない、死が遠い存在となってしまっている人たちにこそ読んでいただきたい1冊である。
評者:前田 壽雄(浄土真宗本願寺派総合研究所研究員)
掲載日:2015年2月10日