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浄土に生まれ往くいのち
本の紹介
  • 梯 實圓 (かけはし じつえん)
  • 天岸 淨圓 (あまぎし じょうえん)
  • 出版社・取扱者 : 自照社出版
  • 発行年月 : 2012年11月2日
  • 本体価格 : 本体800円+税

六字釈のこころ(其の四)-いのちの行方-(梯 實圓)
往生を喜ぶ-親鸞聖人のお手紙より-(天岸 淨圓)
インドならではのチベット仏教(中村 年延)
あとがき(赤井 秀顕)

本書は梯實圓・天岸浄圓の両氏が、善教寺(兵庫県西宮市)で行った報恩講の法話記録である。報恩講とは、浄土真宗の宗祖親鸞聖人の祥月命日(新暦1月16日、旧暦11月28日)に勤める法要のことである。浄土真宗のすべての寺院で親鸞聖人を偲んで行われているが、本山・本願寺での法要(毎年1月9日~16日)よりも前に繰り上げて営まれる。

本書の前半は梯氏の法話である。親鸞聖人の教えに基づき、「南無阿弥陀仏」の六字の解釈(「六字釈」)を通して、なぜ「南無阿弥陀仏」をとなえることで、必ず浄土に往生することができるのかを明らかにしている。南無阿弥陀仏は、私から阿弥陀仏への方向ではなく、阿弥陀仏から私の方へのはたらきかけであることを繰り返し述べている。

後半は天岸氏の法話。親鸞聖人が親しい弟子の死を「うれしく思う」と受けとめた真意について述べている。念仏を申す人生を歩んだ者は、この世の縁の尽きることを「死ぬ」と表現するのではなく、浄土に「生まれて往く」といい、それはすぐさま「仏さまになる」ことを意味している。浄土真宗の教えには、悲しさのみでは終わらない尊さや素晴らしさがあることを示している。

両氏の法話から、苦しみ悩み多いこの人生のなか、私はどこへ向かって歩んだらよいのかを考えさせてくれる。


評者:前田 壽雄(浄土真宗本願寺派総合研究所研究員)


掲載日:2013年11月11日