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お寺の教科書 未来の住職塾が開く、これからのお寺の100年
本の紹介
  • 松本 紹圭 (まつもと しょうけい)
  • 井出 悦郎 (いで えつろう)
  • 出版社・取扱者 : 徳間書店
  • 発行年月 : 2013年8月31日
  • 本体価格 : 本体1,400円+税

まえがき
未来の住職塾とは
未来の住職塾塾長・松本紹圭より
第1章 今、お寺を取り巻く世界に何が起こっているか?
未来の住職塾講師・井出悦郎より
第2章 お寺の眠れる可能性に目を向ける
第3章 お寺の未来を開く基礎講座
コラム:開かれたお寺作りに必要なコミュニケーション
コラム:未来の住職塾のワーク
第4章 未来の住職塾の挑戦

「未来の住職塾」は、MBA(経営学修士)を取得した松本紹圭氏が2012年度より全国各地で開講する、寺院の運営を学ぶ塾である。対象は超宗派の伝統仏教寺院の僧侶。

著者は「未来の住職塾」塾長であり、世界経済フォーラムのYoung Global Leadersに選出された松本紹圭氏と、「未来の住職塾」講師の井出悦郎氏である。東大卒の両氏が、今後の日本は寺院こそが重要な社会的役割を果たし得る機関であると期待し活動を進めている。

本書は『お寺の教科書』と題するが、具体的には寺院経営力を学ぶための教科書と受け止めればよいかと思う。誤解が無いよう付言すれば、「経営」と言っても営利を目的としたものではなく、非営利組織における運営力を指す。そのような意味でも、当分野では斬新かつ注目度の高い一冊である。

従来、寺院で活躍する多くの僧侶は、寺院運営のノウハウを十分に学ぶ機会がなかった。その為、寺院が本来の役割を果たすことが難しくなっている現況がある。だからこそ、僧侶が寺院運営のノウハウを学び、寺院が果たし得る役割を明確化・社会に提供できる価値の再構築化を為す必要があると著者は言う。その方法の手引きとなるものが本書である。本書の目指す寺院像は、地域コミュニケーションが寺院を軸に活性化し、人々が生きる喜びを感じ得るものである。要するに「みんなのお寺」である。その為、本書の読者対象の設定は寺院に関係する多くの人々にあるようである。仏教や経営の専門知識の無い方でも読み易いように仕上がっている。是非、あらゆる人に読んでいただき、各地域性に合致した特徴ある寺院の形成に関わっていただきたいものである。

因みに、紹介者は「未来の住職塾」第1期卒業生である。本書には講義のエッセンスが多分に盛り込まれており、受講生としても推奨できる一冊である。もちろん、講義の内容はより深く実践的であったことも付け加えておく。


評者:網代 豊和(浄土真宗本願寺派総合研究所研究助手)


掲載日:2013年11月11日