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コラム伝道 / 現代だからこそ こんな法話

報恩講の折には多くの寺院で「御絵伝」が掛けられ、『御伝鈔』が拝読されます。『御伝鈔』は本願寺第三代宗主覚如上人によって制作された最初の親鸞聖人の伝記で、非常に格調高い文章ですが、その理解を助けてくれるのが、絵によって描かれた「御絵伝」です。

江戸から明治にかけては、さまざまな親鸞聖人伝が刊行され、「明日ありと、思ふこころの…」といった和歌も生まれます。それとともに絵解きの流行もあって、「御絵伝」による伝道は大変効果的であったと思われます。

しかし、時代を経るにつれ絵解きも徐々に衰退し、最近ではほとんど聞く機会はなくなりました。聴聞者にとって「御絵伝」は、内陣の奥に掛けてあるだけで、そこに何が描かれているのかよく分からず、『御伝鈔』は丁重に拝読されるが、何が説かれているのか言葉が分からない、というのが現状ではないでしょうか。「御絵伝」や『御伝鈔』を用いた儀礼そのものが、かつてのような伝道効果を持たなくなってきました。

最近ではパソコンという便利なものがあります。「御絵伝」をデジタルカメラで撮影し、「パワーポイント」というソフトで編集すれば、「御絵伝」の場面にあわせて『御伝鈔』の文章を表示することがでます。さらに、吹き出しを利用すれば、実際に登場人物が話しているような雰囲気を出すことができます。大きなスクリーンやプロジェクターがなくても、パソコンとテレビを接続すれば、テレビに編集した画像を映すこともできます。いわば「電子紙芝居」といったものでしょうか。映像に慣らされている現代にとって、非常に効果的だと思うのですが、どうでしょうか。

2008/07 元布教研究専従職員 阪本尚樹