- 出版社・取扱者 : 自照社出版
- 発行年月 : 2010年4月30日
- 本体価格 : 本体1,500円+税
目 次 |
人生のはかなさ−『根本説一切有部毘奈耶薬事』より 香りを聞く−『百喩経』『目連所問経』『維摩経』より 「煩悩」という言葉−『安楽集』より 罪障と功徳−「二河白道の譬」より 善き友−『仏所行讃』より 香りに生きる−『法句経』『維摩経』より 海一味の世界−『涅槃経』『往生要集』より 小さな生きものに学ぶ−『往生要集』「原始経典」より 月に想う−『大智度論』『選択本願念仏集』より 鏡の影−『無量寿経』より 波と海の譬え−『大乗起信論』『観無量寿経』より 人間に生まれて−『無量寿経』『教行信証』より 仏のお姿−『大智度論』より 地獄の風景−『往生要集』より 火宅無常の世界−『法華経』『歎異抄』より 別れと出会い−『マハーパリニッバーナ経』「四門出遊」より 合掌の姿−『無量寿経』『嘆徳文』より キサーゴータミーの話−『ダンマパダ・アッタカター』より 一水四見−『摂大乗論』より あとがき |
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本書は、仏典に説かれた譬喩(たとえ話)を取り上げ、そこに込められた教え、そして譬喩であるからこそ表すことのできる真実を明かした一冊である。著者は真宗学を専門とする学者であるが、本書で扱われる仏典は浄土教のそれに限らず、多岐にわたっている。
仏典にはさまざまな譬喩が見られる。それらは、仏教の教えを分かりやすく説くために用いられたものであり、現在に至るまで布教の場で多用されている。しかしながら、「譬喩というものは、従来あまりその重要性がいわれてこなかったようにも思われ」(5ページ)ると著者は指摘し、そのうえで「(仏典から)譬喩をとりのぞいてしまうと、難解な教理のみが残ることになります。教えが伝わったのは、譬喩が大きな力になっていたからだと思います。(中略)そこで、仏典の中に見られる譬喩をとりあげ、その中から学ぶものを見出していくことができればと考えます」(5〜6ページ)と、譬喩が果たす役割の重要性を訴えている。
評者:多田 修(教学伝道研究センター研究員)
掲載日:2011年7月11日