- 出版社・取扱者 : サンガ(サンガ新書)
- 発行年月 : 2010年12月1日
- 本体価格 : 本体762円+税
目 次 |
第一部 仏教と医療は合流する 第二部 仏教を学ぶ 第三部 宗教の役割 第四部 医療と仏教の共同作業 あとがき(アルボムッレ・スマナサーラ) |
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アルボムッレ・スマナサーラ氏はスリランカ上座仏教教団にて受戒した僧侶。現在は宗教法人日本テーラワーダ仏教教会の長老として、瞑想指導のほか、メディア出演や多数の著書によって上座仏教の認知拡大、普及に努めている。氏の著書は大きく分けて、上座仏教のアビダンマ(仏教分析学)の講義(サンガ刊『ブッダの実践心理学』シリーズなど)、啓蒙書(サンガ刊『怒らないこと』など)、対談集に大別できるが、本書は3番目に分類できる。上座仏教の瞑想体験を重視し、日常生活における実践を説く氏は、形而上的宗教に対しては舌鋒鋭く批判する反面、科学者である香山リカ氏や養老孟司氏などとは親和性が高く(学研パブリッシング刊『ブッダの贈り物 スマナサーラ長老と初期仏教の世界』)、現代社会の病理について活発な議論が交わされる。伝統仏教離れが進むと言われる今日、本書のような実践面を強調した仏教書にはかえって注目が集まっているのは、興味深い。
評者:日野 慧運(教学伝道研究センター研究助手)
掲載日:2011年6月10日