HOME > 読む! > 仏教書レビュー > 本の紹介

東大寺お水取り 春を待つ祈りと懺悔の法会
本の紹介
  • 佐藤 道子 (さとう みちこ)
  • 出版社・取扱者 : 朝日新聞出版
  • 発行年月 : 2009年2月25日
  • 本体価格 : 本体1,300円+税

はじめに
I 懺悔会と修二会-「お水取り」とはどんな法会か
II 「お水取り」の今
III 六時の勤行-三つの法要
IV 法会開白
V お水取りの伝統と行事
VI お水取りあれこれ
VII 結願の諸作法
あとがき
引用資料・主要参考文献

「東大寺お水取り」というと、巨大な松明が駆ける「お松明」が連想される。しかし、それはお水取りの一場面に過ぎない。この他にも、東大寺内で非常に多くの法要、儀礼がなされている。

お水取りとは本来、東大寺二月堂で旧暦2月に行われてきた修二会(しゅにえ)である(現在は新暦3月に行う)。これは豊年や安泰を祈るとともに、あらゆる人々が犯した罪の許しを乞う悔過(けか)の法会(ほうえ)でもある。この法会は、精進潔斎を守り、人々になり代わって心身を清めた浄行の僧侶たちにより、3月1日~15日にわたって(さらに前行が2月20日~末日)勤められる。

著者はお水取りを40年以上研究し続けてきた。本書は、そこで行われる様々な作法や意義、由来などを解説したものである。そして、法会とは単なるイベントではなく、意義をもって行われるものであることを示す一冊となっている。


評者:多田 修(教学伝道研究センター研究助手)


掲載日:2009年7月10日