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入門 哲学としての仏教
本の紹介
  • 竹村 牧男 (たけむら まきお)
  • 出版社・取扱者 : 講談社(講談社現代新書)
  • 発行年月 : 2009年4月20日
  • 本体価格 : 本体740円+税

序 仏教はとても斬新な哲学である
第一章 存在について-本体なき現象の生成
第二章 言語について-その解体と創造
第三章 心について-深層心理の奥にあるもの
第四章 自然について-自己と環境の哲学
第五章 絶対者について-絶対無の宗教哲学
第六章 関係について-その無限構造の論理
第七章 時間について-絶対現在の時間論
結 「哲学としての仏教」への一視点
あとがき

著者は竹村牧男・東洋大学教授。関心領域は、唯識思想、華厳思想、禅思想、日本仏教、西田幾多郎・鈴木大拙の宗教哲学など多岐にわたる。本書においても、広く仏教思想全体から哲学的側面を取り上げ、考察を加えている。

本書で扱う主題は「存在・言語・心・自然・絶対者・関係・時間」の7点である。それぞれに関する、仏教における精緻な論理的究明を紹介し、その中に西洋現代思想を先取りしたものがあることを説いている。

さらに著者は、仏教の哲学が現代社会の問題解決に寄与しうることも示している。例えば環境汚染・環境破壊を始めとする今日の地球社会の危機について、以下のように述べる。これらの危機の背景には、主客二元論を疑わず、主体である自己の分析考察を棚上げし、世界・環境など客体のみを操作しようとする態度がある。それに対し、仏教は自己と世界・環境を一体のものと考えており、それは世界・環境の操作、破壊を慎むことへと向かわせる世界観である、と。


評者:鈴木 健太(教学伝道研究センター元研究助手、北海道武蔵女子短期大学専任講師)


掲載日:2009年7月10日