HOME > 読む! > 仏教書レビュー > 本の紹介

法隆寺を歩く
本の紹介
  • 上原 和 (うえはら かず)
  • 出版社・取扱者 : 岩波書店(岩波新書)
  • 発行年月 : 2009年12月18日
  • 本体価格 : 本体760円+税

はしがき-法隆寺に魅せられて
序章 在りし日の法隆寺の南大門跡に立って-厩戸皇子の生涯を偲ぶ
第一章 消された聖徳太子創建の鵤寺
第二章 華麗なる玉虫厨子
第三章 西院伽藍を巡る
第四章 東院伽藍に佇む
おわりに-中門の前に立って
出拠文献一覧
図版引用元一覧
あとがき

著者は成城大学名誉教授(美学・美術史)。当初は西洋美術を研究していたが、法隆寺を訪れた時に感銘を受けたことがきっかけで日本上代美術の研究に転向し、法隆寺や聖徳太子の研究を続けてきた。「本書はその集大成」(はしがき)として出版されたものである。

聖徳太子の事跡や法隆寺の建造物、仏像、仏画などに関する本書の解説は、著者が読者を引率して現地で案内しているような口調で書かれている。また、図版や地図も豊富に掲載されており、「現地を歩いているつもりで」(はしがき)読めるように工夫がこらされている。

解説に際しては、国内はもとよりインドや中国、朝鮮半島の文献や仏像、仏画などについても言及がなされている。また、文献については、文言だけでなく、その書体にまでも目配りがなされている。本書を通して、法隆寺の魅力をより深く味わうことができるであろう。


評者:多田 修(教学伝道研究センター研究助手)


掲載日:2010年4月12日