- 出版社・取扱者 : 光文社(光文社知恵の森文庫)
- 発行年月 : 2010年3月20日
- 本体価格 : 本体648円+税
目 次 |
はしがき プロローグ 何もかもなくして、旅へ−親鸞に至る道 第一章 迷いぬくのが人間 第二章 『歎異抄』異聞 第三章 私のとっての宗教 第四章 私の学習「差別の根っこ」 第五章 はぐれ者考現学 あとがき 知恵の森文庫版へのあとがき |
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本書は、日本を代表する俳優・三國連太郎氏が自身の半生を振り返りながら、自らが描く親鸞像について語ったものである。著者は、映画『親鸞・白い道』で原作・脚本・監督をつとめたほど親鸞聖人を身近に感じている一人である。
本書では、まず著者が親鸞聖人や鎌倉仏教の祖師たちへ関心を寄せていく過程が綴られている。親鸞聖人を「自分の全エネルギーを傾倒して民衆の救済をめざし、そして、生きることの偉大さを、体をもって説いていったことにつきる」(33ページ)と捉えるなど、その魅力を余すことなく表現している。
また著者自らの生い立ちや戦争体験、父親の死や娘の葬儀などに関するエピソードに触れながら、親鸞聖人の教えの真髄に焦点をあわせていくような記述となっている。著者が聖人の教えを、「当時虐げられていた人びとと交流するなかで、練り上げていったもの」(知恵の森文庫版へのあとがき)と一貫して位置づけることによって、生き生きとした親鸞聖人の姿を描き出している。
評者:前田 壽雄(教学伝道研究センター研究員)
掲載日:2010年6月10日