- 出版社・取扱者 : 永田文昌堂
- 発行年月 : 2009年10月20日
- 本体価格 : 本体1,238円+税
目 次 |
第一章 1 はじめに 2 『領解文』の成立とその理由、および流布 3 領解(改悔)の意義と出言の意義 4 『領解文』の造由 5 四科(安心・報謝・師徳・法度)について 第二章 1 はじめに 2 安心表現と真宗教義 3 「われらが今度の一大事の後生」 4 「御たすけ候へとたのみまうして候ふ」 5 「たのむ一念のとき、往生一定御たすけ治定と存じ」 6 報謝 第三章 1 法度(掟)の意味 2 蓮如上人以前の「掟」 3 蓮如上人の掟 4 制誡・掟の背景と理由 5 蓮如上人の掟の特色・信心の強調 6 神祇不拝と不軽神明 7 現代に通じない掟 8 親鸞聖人の掟 9 仏法をあるじ(主)とし、世間を客人とせよ 10 現代における掟 |
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著者は浄土真宗本願寺派の海外での布教伝道に携わり、南米地区におけるトップである南米開教総長などを務めた。
『領解文(りょうげもん)』とは浄土真宗の信心の内容などを端的に示した文書であり、本願寺第8代門主・蓮如上人(室町期)の作とされる。浄土真宗本願寺派では、これを法座の終わりに皆で唱えることが多い。
本書は、『領解文』について蓮如上人作という伝承の立場を尊重し、蓮如上人の時代の社会情勢にも目を配りながら、『領解文』を読み解いていく。また著者は、『領解文』など古文の意味が現代人にわかりづらいことは認めながら、「特に宗教的な用語というものはそのニュアンスが非常に大きな影響を与える」として「むやみに現代文に直すということはあまり賢明ではない」と述べ、拝読することの効果や意味を軽視しないよう訴えている。海外での開教の経験を持つ著者によるこうした見方は、本書の特徴の一つである。
評者:網代 豊和(教学伝道研究センター研究助手)
掲載日:2010年5月10日