- 出版社・取扱者 : 中央公論事業出版
- 発行年月 : 2008年6月20日
- 本体価格 : 本体1,700円+税
目 次 |
解説 一 『歎異抄』の成立 二 組織について 三 基本用語の予備知識 現代語訳 新訳 歎異抄 補注 原文 凡例 歎異抄-原文および注解 校異 |
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本書は、『歎異抄』の「わかりやすい現代語訳」とは何かを追求した書である。原稿が著されたのは約40年前だが、遺族の手により2008年に出版された。著者は京都帝国大学経済学部を卒業し、旧制中学校の教諭を務めた人物であり、僧侶ではない。著者は、『歎異抄』の難解さは「ことば」にあるとして、大胆な意訳や補足説明を用いて訳に努め、基本用語の解説にも力を注いだという(はしがき)。「基本用語の予備知識」では、阿弥陀仏と極楽、本願、念仏などの用語を取り上げ、浄土真宗の教えの要点を把握できるようにしている。
また本書は、伝統的な理解や先入観にとらわれることなく、『歎異抄』の作者・唯円房が理解した親鸞聖人の教えや、唯円房独自の見解を忠実に表そうと意図したことも特徴の一つである。著者は『歎異抄』を「凡夫(一般人)」に向けた教えであると終始意識しており、そのことが現代にも通じる訳を生み出した原動力となっている。
評者:前田 壽雄(教学伝道研究センター研究員)
掲載日::2008年12月10日