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2021年度一緒に学ぼう 第2回『御文章』「信心獲得章」 講座の内容

「一緒に学ぼう西本願寺のおつとめ」は、聖典に説かれている内容を学び、一緒に声を出して唱え方を学ぶ講座です。  
『日常勤行聖典』に収められている中から、今年度は、『御文章』について学びます。講座は「座学」と「実践」の二部制で行います。「座学」の時間では、各『御文章』の内容等について、総合研究所の研究職員がやさしく解説し、「実践」の時間では、『御文章』の拝読法、合掌・礼拝などの作法について、おつとめを指導する専門講師が丁寧にお教えします。

第2回『御文章』「信心獲得章」

日時 2021(令和3)年11月18日(木) 10:00~11:30
会場 オンライン(Zoom)
講師 座学 溪英俊(総合研究所研究員)
   実践 阿満愼照(本願寺式務部知堂)
人数 27名

当日の内容

【座学の内容】

 第2回目は、「信心獲得章」の内容について学びました。『日常勤行聖典』では、124頁・125頁の見開きが今回の範囲です。以下に要点を述べていきます。

1.「信心獲得」について

 「信心獲得章」では、浄土真宗において信心を獲得するとはどのようなことなのか、またその利益とはどのようなものか、について示されています。

 蓮如上人はまず、信心獲得することについて、「第十八の願をこころうる」「南無阿弥陀仏のすがたをこころうる」ことだとお示し下さっています。
 「第十八願」とは、阿弥陀仏の本願であり、わたしたちを信じさせ称えさせ、浄土に往生させることが誓われています。「南無阿弥陀仏」とは「名号」です。すなわち、阿弥陀仏の本願に誓われた名号「南無阿弥陀仏」のいわれをこころうることが、「信心獲得」することであるといただくことができます。

 親鸞聖人は『尊号真像銘文』というお聖教に、「「聞」というのは、阿弥陀仏の本願に誓われた名号を信じるということ」(現代語版聖典6頁)と言われています。さらに、『一念多念文意』というお聖教には、「聞くというのは、信心をお示しになる言葉である」(現代語版聖典5頁)とも言われています。すなわち、信心をいただくというのは、阿弥陀仏の本願に誓われた名号を「聞く」ことであるといただくことができます。

 阿弥陀仏は、あらゆるいのちをすくい取る方法として「南無阿弥陀仏」の名号を完成されました。そのいわれをきちんと「聞」かせていただくことが、浄土真宗において「信心獲得」することであると、蓮如上人は示されています。

2.信心獲得の利益

 続いてこの信心をいただいた後の利益が示されていきます。中でも「正定聚不退の位に住すとなり」とある「入正定聚の利益」は、浄土真宗において大切な利益の1つであり、古来より「総益」とも言われてきました。先掲の『一念多念文意』には「正定聚」という言葉について「往生すべき身とさだまるなり」(註釈版聖典679頁脚註)と解説されています。さまざまな解釈が可能ではありますが、ここでは「命が終えたときに必ず浄土に往生させていただく身となる」といただきます。信心をいただいた時、必ず往生させていただける身となることが、何よりの利益であると蓮如上人はお示しになられております。

3.みだりに論ずることのいましめ

 「信心獲得章」では最後にこの信心について、「この義は当流一途の所談なるものなり」と、浄土真宗だけが説く教えであることを述べられ、他宗の人に対してみだりに論じるべきではないという誡めの言葉をもって締めくくられています。

 

 以上のことを、座学の時間では学びました。

【実践の内容】

 第2回目の実践の時間では、「御文章」のいただき方を中心に、「信心獲得章」の読み方を学びました。その概要を以下にまとめます。 なお、「大切」など区切りの拝読法については前回をご参照ください。

1.『御文章』のいただきかた

①御文章箱の前で立ち止まり一揖する。
②一歩前へ進み両手で御文章箱を水平に目の高さまで持ち上げる。
③拝読する場所まで移動し御本尊に向かって横向きで座り、御文章箱を畳(床)の上に置く。
④箱の蓋をあけ、御本尊と反対側に置く(畳の場合、縁に蓋をかけない)。
⑤『御文章』を両手に持ち、胸前保持し、戴く。その後、胸前に戻す。
⑥読む場所をひらき、両手を揃えて胸前保持しながら拝読する。
⑦1回目の「あなかしこ」で閉じ、2回目で頂戴する。
⑧もう一度胸前に保持し、同じように戻す。
⑨御文章箱を元の場所に戻したら、一歩下がって一揖し、退席する。

2.「信心獲得章」拝読法について

①実際の文字と異なる読み方

 「いふは」→「ゆーは」/「こころうる」→「こころーる」
 話し言葉に近い言葉で読む。

②「大切」の前に【引く】部分。
・「第十八の願【を】こころうるなり」
・「南無阿弥陀仏のすがた【を】こころうるなり」
・「回向ましま【す】こころなり」
・「令諸功徳成就【と】説けり」
・「正定聚不退の位【に】住する」
・「涅槃をうといえるはこ【の】こころなり」
・「当流一途の所談な【る】ものなり」
・「沙汰あるべからざ【る】ところなり」
・「よくよくこころう【べき】ものなり」(【き】は伸ばして半音下げておさえる)

③中切の「まわす」

 「中切」は本来、1文字ずつ音を下げるが、文字の途中から下げる読み方もある。これを「まわす」と言い習わしている。
例)「一念の【処(ところ)】に・」→「とこお↓ろ↓に↓」
「信心獲得章」では他に、「これすなはち」・「大経には」・「断ぜずして」・「この義は」の中切で「まわす」。

④促音と鼻音

 ・ルビに「、、、」とある箇所(「願力不思議をも【っ】て」「消【滅】する」「これによ【り】て」)は促音(小さい「っ」)で読む。

 ・ルビに「ツ」とある箇所(「南無阿弥陀【仏】」のすがた)は鼻音で読む。鼻で抜くように発音するが、難しければ「つ」と発音しても良い。

以上のことを、実践の時間では学びました。

 次回は、12/2(木)10:00-11:30です。「末代無智章」について学んでいきたいと思います。講師は、
 座学:西村慶哉(総合研究所研究助手)
 実践:桃園裕成(勤式指導所主任)
の予定でございます。次回もご参加をお待ちしております。