- 出版社・取扱者 : 講談社
- 発行年月 : 2010年2月22日
- 本体価格 : 本体1,500円+税
目 次 |
第一章 霊って何だろう? 第二章 名前は呪い? 第三章 シャーマン、霊能者、カウンセラー−民間宗教者のお仕事 第四章 スピリチュアルブームの正体 第五章 日本の宗教性はメタ宗教にあり 第六章 第三期・宗教ブーム−一九七五年起源説 第七章 靖國問題で考える「政治と宗教」 第八章 宗教の本質は儀礼にあり 第九章 宗教とタブー 質問の時間 おわりに 図表「おもな新宗教・ポスト新宗教の推移」 |
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本書は内田樹(神戸女学院大教授)・釈徹宗(浄土真宗僧侶、兵庫大教授)の両氏による神戸女学院大学大学院の講義をまとめたもの。「霊性(スピリチュアリティ)」をキーワードに、現代における日本人の宗教観、占いやスピリチュアルブーム、新新宗教、靖国問題、葬儀など広範な問題を取り上げる。
非常に多くの事件や事例が提示され、デリケートな問題も扱われるが、両氏の「かけあい講義」の活気ある雰囲気を伝える文体もあって、楽しんで読める。両氏は霊的(宗教的)なものを、我々の政治や社会、日常の振舞いの中で機能しているものと捉え、「現象学的アプローチ」(12ページ)を試みる。そのため難解な用語はほとんど出ず、宗教談義の隘路に入り込むこともない。しかもスピリチュアルブームや新新宗教を一括りに批判せず、むしろ「説明できないことを日常化する」(134ページ)ために、「宗教や霊性に関わる言説も開いていこう」(299ページ)という姿勢を保っており、斬新で興味深い。
評者:日野 慧運(教学伝道研究センター研究助手)
掲載日:2011年3月10日