「一緒に学ぼう西本願寺のおつとめ」は、聖典に説かれている内容を学び、一緒に声を出して唱え方を学ぶ講座です。
今年度は、「正信偈」の草譜・行譜を中心に学びます。講座は「座学」と「実践」の二部に分け、前半の「座学」の時間は、総合研究所の研究職員が、「正信偈」に説かれている教えの内容について解説し、後半の「実践」の時間は、おつとめを指導する専門講師が、合掌礼拝などの作法や「正信偈」の唱え方についてやさしくお伝えします。
第1回「正信偈」草譜
日時 |
2020(令和2)年10月29日(木) 10:00~12:00 |
会場 |
本願寺聞法会館 3階 研修室①② |
講師 |
座学 西村慶哉(総合研究所研究助手) |
実践 桃園裕成(勤式指導所主任) |
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人数 |
34名 |
当日の内容
【座学の内容】
第1回目の座学では、「正信偈」とはどのような聖典なのか、そして冒頭部である「帰命無量寿如来 南無不可思議光」の2句(帰敬序)の内容について学びました。
1.「正信偈」とはどんな聖典?
「正信偈」は、浄土真宗のご開山である親鸞聖人が、その著作『教行信証』の中にお書きになられた「漢文のうた」で、正式には「正信念仏偈(しょうしんねんぶつげ)」といいます。
私たちが日常的に、この「正信偈」をおつとめするようになったのは、本願寺第八代宗主である蓮如上人の頃からだといわれています。蓮如上人は「正信偈」と「和讃」そして念仏を加えて、浄土真宗のおつとめと定めました。それ以降、本願寺派では「正信偈」と「和讃」を日常的におつとめしています。
2.「正信偈」が造られた目的とは?
親鸞聖人は「正信偈」をお造りになられた理由を、「正信偈」が書かれる直前のご文(これを「偈前の文(げぜんのもん)」といいます)でお示しになられています。そこには「知恩報徳」すなわち「仏さまのご恩を知って、その徳に報いる」ために「正信偈」を造ったと書かれています。従って「正信偈」とは、親鸞聖人ご自身が、阿弥陀仏のみ教えに出会われ「南無阿弥陀仏」の念仏一つの救いをいただくことができた、そのご恩に報いたいというお気持ちを吐露された偈文(うた)であることを知ることができます。
3.親鸞聖人の信の表明
ここから「正信偈」の本文に入ります。今回の講座では、
帰命無量寿如来 南無不可思議光(『日常勤行聖典』6頁)
の、はじめの2句(帰敬序)について学びました。まず「無量寿如来」と「不可思議光」とは、いずれも阿弥陀仏の別名です。「阿弥陀」とはインドの言葉の音写で、古来より「限りない命を持つ者」、「果てしない光を持つ者」という意味があるといわれています。これらを指して、いま「無量寿」「不可思議光」と、その特徴をもって阿弥陀仏を表現されています。
次に「帰命」「南無」とは、「おまかせする」「おおせにしたがう」と受け取ります。つまり「南無阿弥陀仏」とは、「かならず救う、我にまかせよ」という阿弥陀仏の仰せに対して、「お任せします」と聞き入れること、ということができます。
以上のことを、座学の時間で学びました。
【実践の内容】
第1回目の実践の時間では、おつとめを行う前の作法、そして草譜の唱え方について学びました。
1.作法について
おつとめを行う前に、まず身なりを整えて心を落ち着かせます。次にお仏壇の蝋燭に点火し、線香を香炉に入れます(供香)。この時、線香の数や長さにはこだわりませんが、香炉に入れる際は立てずに横に寝かせます。次に式章をかけ、経本を持ちます(経卓に置いてもかまいません)。そして念珠に手を通し、合掌礼拝します。この時、念珠はしっかりと両手に通して親指を上から自然に付くくらいに押さえます。また、礼拝後はすぐに姿勢を戻すのではなく、ゆっくりと戻します。
なお、これらの作法にきましては本願寺派勤式指導所のホームページhttp://gonshiki.hongwanji.or.jp/html/bms3.htmlに詳しい説明がありますのでそちらも併せてご覧ください。
2.草譜の唱え方について
草譜を唱えるにあたって、最初に『日常勤行聖典』に書かれている符号、とくに「独吟」「引」「四句下がり」について学びました。
独吟は「●」と書かれてある部分です。調声の方が一人で唱え、後ろの人は「同音」と書かれる部分から唱えます。また、独吟箇所は、「同音」が発音されるまで最後の音を切らずに延ばすよう注意しなければなりません。
「引」とある部分は二拍で唱えます。例えば「命(みよう)」なら、「ミョ」を1.5拍、「ウ」を0.5拍、といった調子で唱えます。
「四句下がり」とは、「正信偈」の4句目ごとに文字の右辺にある線(博士)を指します。4句目の音が二段階下がることを表しています。このように、「四句下がり」するのは草譜の特徴の1つです。
3.草譜を唱える上でのワンポイント
次に、個別に草譜を唱える上での注意すべき点について学びました。( )は『日常勤行聖典』のページ数です。
・「超発希有大弘誓」(7頁)
「引」の用例。「大弘誓(だいぐぜい)」の「ダイ」は、「ダー」(1.5拍)「イ」(0.5拍)
とのびる。
・「超日月光照塵刹」(9頁)
「刹」を「セーツ」とのばすが、最後の「ツ」をきちんと発音する。
・「是人名芬陀利華-弥陀仏本願念仏」(15頁~16頁)
「芬陀利花(ふんだりけ)」の言葉が分かるように、次の「弥陀仏本願念仏」までつなげて唱える。
・「中夏日域之高僧」(17頁)
「日域(じちいき)」は「引」とあるが、意味をはっきりさせるために1拍ずつ「ジ ーチーイーキー」と唱える。
・「証-知生-死即涅槃」(26頁)
「ショウチ」「ショウジ」の「ウ」をしっかりと発音する。
・「至安養界証妙果」(28頁)
一旦おつとめが切れる。「ショウミョウカ」の部分でゆっくりとテンポを落とす。
・「善導独明仏正意」(29頁)
独吟。「鏧(きん)」をならさないよう注意。節が変わるが、理由ははっきりとしない。
・「弘経大士宗師等」(35頁)
「等」は4拍の長さを取る。
・「唯可信斯高僧説」(35頁)
ゆっくりとテンポを落とす。唱えきって声が無くなってから「鏧(きん)」を打つ。息つぎせずに唱えるべきであるが、続かない場合は「唯可信斯」で一旦、息継ぎをする。
実践の時間では、以上のことを学びました。
次回の開催日は11月19日(木)です。同じく聞法会館3Fの研修館①②で10:00から12:00まで開催致します。事前予約制となっておりますが、次回も皆さまのご参加をお待ちしております。
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