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2020年度一緒に学ぼう 第2回「正信偈」② 講座の内容

「一緒に学ぼう西本願寺のおつとめ」は、聖典に説かれている内容を学び、一緒に声を出して唱え方を学ぶ講座です。  
今年度は、「正信偈」の草譜・行譜を中心に学びます。講座は「座学」と「実践」の二部に分け、前半の「座学」の時間は、総合研究所の研究職員が、「正信偈」に説かれている教えの内容について解説し、後半の「実践」の時間は、おつとめを指導する専門講師が、合掌礼拝などの作法や「正信偈和讃」の唱え方についてやさしくお伝えします

第2回「正信偈」念仏と和讃

日時

2020(令和2)年11月19日(木) 10:00~12:00

会場

本願寺聞法会館 3階 研修室①②

講師

座学 溪 英俊(総合研究所研究助員)

実践 高柳智徳(本願寺式務部知堂)

人数

27名

当日の内容

【座学の内容】

  第2回目の座学では、『仏説無量寿経』(『大経』)について讃歎される箇所である「法蔵菩薩因位時~難中之難無過斯」(依経段)の内容について学びました。『日常勤行聖典』でいいますと6頁-16頁になります(以下、ページ数だけ表記されているものは、『日常勤行聖典』のページ数を指しています)。

  さらにこの「依経段」は、阿弥陀さまについて説かれる段(弥陀章)と、お釈迦さまについて説かれる段(釈迦章)とに大別されます。

1.阿弥陀という仏さま(弥陀章)
「法蔵菩薩因位時~必至滅度願成就」(6頁-10頁)は、『大経』に説かれる阿弥陀さまのお徳について讃嘆される一段(弥陀章)です。今回は、以下の内容に焦点を当てて学びました。

 ・法蔵菩薩の誓い
弥陀章はまず、阿弥陀さまが悟りを開く前のおすがたである、法蔵菩薩が願いを建てられる様相が描かれます。それは、法蔵菩薩は師仏である世自在王仏のみもとであらゆる者を救いとるという誓いを立て、五劫という果てしない時間をかけてその方法を思惟された、というものです。
また、この法蔵菩薩の願いを宗祖親鸞聖人は、「超発希有大弘誓」(7頁)すなわち「たぐい希なる願いを宣言されました」と讃えられています。「たぐい希なる願い」とは、私たちが到底おもいはかることのできない願いだということとも表現できます。

 ・阿弥陀さまの願い
それでは、あらゆる者を救いとるという願いとはどのようなものか。その願いについてくわしく説かれるのが、「本願名号正定業~必至滅度願成就」(10頁)の四句であると味わうことができます。その中でも根本となる願いが第十八願であり、そこには、

わたしが仏になるとき、すべての人々が心から信じて、わたしの国に生まれたいと願い、わずか十回でも念仏して、もし生まれることができないようなら、わたしは決してさとりを開きません

(『現代語版』29頁)

  と、誓われています。この誓いのもとに阿弥陀さまは「南無阿弥陀仏」というあらゆる者を救いとる法を完成されました。

2.お釈迦さまの教え(釈迦章)
「如来正意興出世~難中之難無過斯」(11頁-16頁)は、同じく『大経』をお説きになられたお釈迦さまについて讃嘆される一段です。今回は、以下の内容に焦点を当てて学びました。

 ・出世本懐
釈迦章ではまず、「如来正意興出世 唯説弥陀本願海」お釈迦さまがこの世にお出ましになられた理由が示されます。お釈迦さまは生涯にわたって八万四千の法門を説かれたとも言われますが、その本意はただ、阿弥陀さまのおみのりを説くためにあったのだと親鸞聖人は讃嘆されています。

 ・信心のご利益
続いて「能発一念喜愛心」(12頁)以降では、阿弥陀さまからいただいた信心のご利益について詳しく説き述べています。
一般的な書籍には「浄土真宗にはご利益がない」と書かれるものもあります。確かに、「もっとお金が欲しい」「建康であり続けたい」といった私たちの欲望を満たしてくれるようなご利益は浄土真宗にはありません。しかし、現世において得ることのできる“ご利益”は浄土真宗にもあります。それは、「不断煩悩得涅槃」(12頁)と述べられるように、煩悩をかかえた私が煩悩をかかえたそのままで阿弥陀さまに救いとられていくというご利益です。
なお、この点については、『真宗必携 み教えと歩む』(本願寺出版社、126頁)に詳しく述べられていますので、是非ご参照ください。

  座学では、以上のことを学びました。

【実践の内容】

  第2回目の実践の時間では、最初に前回の講座で出た疑問点について、以下のように確認しました。

 ①線香をお供えする際、その長さや本数に決まりはない。

 ②「正信偈」の譜の使い分けについて。本山のお晨朝では、1月16日の親鸞聖人御正忌には「真譜」、それ以外の月であるの御祥月16日には「行譜」、普段は「草譜」をおつとめしているが、自宅では特に規定は無い。

 ③「念仏」の最後に「南」とだけとなえるが、これには諸説があって実際のところ詳しい理由は判然としない。
その後、「正信偈」に続いてとなえられている「念仏」および「和讃」について学びました。以下に要点を述べていきます。

◯初重 念仏(36頁)

 ・開始は壱越「レ」の音。

 ・1句目、2句目。5句目の「陀仏」は〈ユリ〉と呼ばれる部分。
「だああんぶ」ではなく「だーああんぶ」と後ろの方で揺らす

◯「弥陀成仏のこのかたは」(38頁)

 ・「レ」の音から「ミ」の音に上がる。

 ・「十劫」の「じっ」は促音となる。1文字だが2文字の拍でとなえる(「法身」も同様に「ほっ」は2文字分で)。

 ・「十劫を」の「を」は、伸ばさず、息をつぐ。

 ・「法輪」の「りん」も同じく伸ばさない。

 ・「盲冥」の「う」は強く発音しすぎない。「もうみょぅ」のように軽く。

◯念仏(38頁)

 ・先ほどと注意点は一緒。

◯「智慧の光明はかりなし」(39頁)

 ・「はかりなし」の「し」は、「陀仏」と同じくは後ろで揺らす。

 ・「光暁」は(ワル)とあるように、「こうけう」と発音するのに注意。

 ・「かふらぬ」の「ら」は〈アタリ〉と呼ばれる部分。

  となるのが難しい方は、「ら」途中で音で切って「ら、あー」と発音すればとなえやすい。余裕ができれば、「ら」を少し跳ねる感じで切るとなお良い。

 ・「帰命せよ」の「帰命」は「きみょお」と発音。「ぞうさん(ぞおさん)」と同じ。「きみょうせよ」だと違う言葉にも聞こえるので注意。「お」と発音しすぎても違う言葉に聞こえる。あまり強く発音しない。(以下同)

◯念仏(39頁)

 ・39頁最後の「南無」は、俗にアヒルと呼ばれる墨(はか)譜(せ)が付される。西洋音階で言えば、「レ」→「ラ」→「ミ」。これをうまく緩やかに繋げる。

◯二重 念仏(40頁)

 ・4句目「南無阿弥陀仏」と5句目「南無阿弥陀仏」は繋げてとなえる。息継ぎが辛いので、続かない方は無理せずに息を吸う。

◯「解脱の光輪きはもなし」(41頁)

 ・「光輪」は、「ミ」→「ソ」→「ラ」→「ミ」と音の移り変わりが大きい。「こうりん」ととなえてすぐに息継ぎがあることに注意する。
・「平等覚に帰命せよ」はかなり音が低い。声が出なくても拍だけはしっか りと取るように心がける。

◯念仏(41頁)

 ・先ほどと注意点は一緒。

◯「光雲無碍如虚空」(42頁)

 ・「レ」の音から出音。
・「如虚空」が長いので、「光雲無碍」のあとに大きく息を吸うと良い。

◯三重 念仏(43頁)
・一気に「ラ」まで音程が上がる。自宅ではとなえやすい音程で発声して差し支えない。

◯「清浄光明ならびなし」(44頁)

 ・「光明」の「光」は同じくアヒル。「こー、おー、うー」となめらかに繋げる。

 ・「遇斯光」の「遇」はかなり音が高いので、無理をしない。

 ・「畢竟依」の「依」は、音を途中で切る。「え、えー」。

◯念仏(44頁)

 ・先ほどと注意点は一緒。

◯「仏光照曜最第一」(45頁)

 ・「ソ」の音から

 ・「照曜」は(ワル)とあるように「せうえう」と発音する。

 以上のことを、実践の時間では学びました。

   次回の開催日は12月3日(木)です。同じく聞法会館3Fの研修館①②で10:00から12:00まで開催致します。事前予約制となっております。次回も皆さまのご参加をお待ちしております。