- 出版社・取扱者 : ダイヤモンド社
- 発行年月 : 2010年12月9日
- 本体価格 : 本体1,600円+税
目 次 |
第一章 私は悪人である 第二章 知識人の悪癖 第三章 良寛、柳宗悦 第四章 末法の世に 法然、親鸞、橋本峰雄 第五章 日蓮と創価学会他 第六章 寂滅為楽、河合隼雄、プラグマティズム 第七章 かくれ佛教徒 あとがき |
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著者である鶴見俊輔氏の紹介は、もはや不要だろう。著者は戦時中、戦争を賛美する僧侶の姿を見て「仏教徒」にはなるまいと決意する。しかし、ブッダ(釈尊)の思想と著者の思想とが地続き(16〜17ページ)と感じ、「すごい思想だ」(109ページ)と念仏に共鳴し、生い立ちに関連して創価学会との共感を語り、〈南無〉が氏の《想像力の慣用語》(208ページ)であると表明する。著者の仏教は、多くの仏教者との出会いでもある。橋本峰雄、塚本善隆、無著成恭、河合隼雄、秋野不矩・・・こうした人々との邂逅に関する語りは、京都を中心とした現代の思想運動を、人々の生き様を通して見ているように感じさせる。しかし、なぜ「かくれ佛教」なのか?その答えを得るには、本書全体を読んでいただくのが良いが、最後の一文を紹介しておこう。「国家が、そのかくれ佛教によって批判されるような道をめざしています」(219ページ)
評者:藤丸 智雄(教学伝道研究センター常任研究員)
掲載日:2011年8月10日