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現代文 説教の秘訣
本の紹介
  • 大須賀 順意 (おおすが じゅんい)
  • 府越 義博 (ふごし ぎはく) 編訳
  • 出版社・取扱者 : 国書刊行会
  • 発行年月 : 2011年5月20日
  • 本体価格 : 本体3,800円+税

『現代文 説教の秘訣』現代語訳に寄せて(神子上 惠群)
はじめに
現代文 説教の秘訣
第一章 練習の注意
第二章 説教の基礎
第三章 説教の組織法
第四章 説教の例題
第五章 説教の段階
説教台本作成法
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本書は、明治時代の節談説教者・大須賀順意が説教者の心得や技法、注意事項を説いた『説教の秘訣』の現代語訳である。編訳者は節談説教研究会の事務局長も勤め、布教者の育成に力を注ぎ、2008年には本願寺築地別院で節談説教布教大会を開いている。

節談説教とは「言葉に独特の節をつけ聞く者の情念に訴える説教」(7ページ)であり、浄土真宗の伝統的な説教技法である。かつて、名人の説教ともなれば聴聞者が殺到したと言う。しかし近代合理主義の影響か、伝統的な説教は失われ、学問的な布教に取って代わられた。ところが近年、「現代的布教の限界がありありと見えてきた」(5ページ)ためか、節談説教が見直されてきている。そこで、布教者の必携書となるべく、現代語訳の上、本書が復刊された。
自分の信じるところを伝えることは容易ではなく、準備と技術が必要なことは言うまでもない。本書は僧侶向けではあるが、本書の説く心得や話法は一般社会においても有益である。


評者:伊東 昌彦(教学伝道研究センター研究助手)


掲載日:2011年8月10日