- 出版社・取扱者 : 講談社(講談社+α文庫)
- 発行年月 : 2009年7月20日
目 次 |
文庫版まえがき 第1章 変わりつつある葬儀、そこにある問題は何か? 第2章 葬儀を「体験する」ということ 第3章 死と葬儀についての意識-そのありようをさぐる 第4章 葬式の実際−死の看取りから始まるプロセス 第5章 お墓の革命 終章 『おくりびと』の世界 あとがき |
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著者(ブログ)、葬祭専門誌『SOGI』の編集長をつとめる葬送ジャーナリスト。本書は、その著者が、自らの体験と取材をもとに、現代における「死」や「葬儀」のあり方を論じたものである。
著者によれば、現在、「生そのものが、家族関係を含めて希薄な人間関係となっていることから、死が共同性を失い、個的な営みでしかない地平に追いやられる事態が発生している」(169ページ)。しかし、本来、「死はけっして死ぬ者の単独の営みではな」く、死にゆく者と「看取るものとの共同の営み」(170ページ)であり、また、儀礼としての「お葬式」は、そうした看取りから始まるプロセスの中の「点」(46ページ)に位置づけられるものであるという。
本書は『「お葬式」の学び方』(講談社、1994年)を文庫化したものだが、近年の葬送事情の変遷等を反映した、大幅な増補・改稿がなされている。増補された部分の中では、著者が体験した数々の「葬儀」の事例が印象的である。それらの実例が示す、「具体的な」一人一人の人間の「死」の多様性が、現代における「死」や「葬儀」のあり方について改めて考えるきっかけを与えてくれている。
評者:江田 昭道(教学伝道研究センター研究員)
掲載日:2010年5月10日