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荻原雲来と渡辺海旭 ドイツ・インド学と近代日本
本の紹介
  • 西村 実則 (にしむら みのり)
  • 出版社・取扱者 : 大法輪閣
  • 発行年月 : 2012年4月20日
  • 本体価格 : 本体2,800円+税

はじめに
プロフィール 荻原雲来
プロフィール 渡辺海旭
1 近代における原典研究の幕開け
2 日本人からみたドイセン
3 オルデンベルクに出会った日本人
4 ロイマン門下の日本人
5 近代における原始仏教学の導入−『阿含経』に光を当てた人びと−
6 洋行前の荻原雲来
7 荻原雲来のドイツ
8 荻原雲来の帰朝
9 荻原雲来の人と学問
10 渡辺海旭のドイツ
11 荻原、渡辺とローゼンベルク
おわりに

本書は、明治時代後期、若くしてドイツ国シュトラースブルク大学に留学した2人の浄土宗の学僧、荻原雲来と渡辺海旭の、主に留学生活と当時のヨーロッパの学問事情などを紹介するものである。

興味深いのは、この2人はヨーロッパの学者たちからも一目置かれる存在になるが、その背景には2人が漢文中心の日本の伝統宗派の学問を基礎学として十分に身につけていたことが指摘されている点である。さらに、2人の存在が、ヨーロッパのインド研究者たちのあいだに仏教への関心を高める効果をもたらしたという点も重要であろう。2人の師、ロイマン教授は彼らを「菩薩」と呼ぶことを憚らなかったという。

本書は、明治の日本が欧米から一方的に学んだだけではなく、ヨーロッパへも一定の貢献を成した面があることをわかりやすく教えてくれる良書である。


評者:石上 和敬(武蔵野大学准教授、浄土真宗本願寺派総合研究所委託研究員)


掲載日:2012年10月10日