- 出版社・取扱者 : 吉川弘文館
- 発行年月 : 2009年10月15日
- 本体価格 : 本体3,500円+税
目 次 |
I インド美術の先駆 II 古代初期の仏教美術 III 仏教美術の革新 IV 仏教美術の完成と衰退 V ヒンドゥー教美術の隆盛 VI イスラム時代のインド美術 参考文献 年表 索引 『インド美術史』を語る インド美術史地図 |
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著者は宮治昭・龍谷大学教授。本書は、およそ4000年前のインダス文明の遺跡からムガル朝の18世紀の細密画に至るまで、インドで作製された主要な美術作品の図形的特徴・図像的特徴を、400以上にも及ぶ図表を用いて詳細に解説している。解説では、インド外部から影響を受けて変容していく部分と、インド内部で伝統的に保持されている部分の両方に注意を向け、文献学や考古学の研究成果も参照されている。仏像や石窟寺院などの仏教美術が中心を占めているが、ヒンドゥー教美術やイスラーム美術についても十分な目配りがなされている。
このように専門的立場からインド美術史を俯瞰したものは他に類がなく、本書は1981年に出版されて以降、隣接諸分野の研究者や旅行家にも親しまれてきた。この度の復刊に当たって、初版本刊行以降に公表された研究書の紹介も付され、近年の大きな研究成果についても確認することができるようになっている。
評者:鈴木 健太 (教学伝道研究センター元研究助手、北海道武蔵女子短期大学専任講師)
掲載日:2010年3月10日