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浄土を願って生きる 発願回向のこころと人生の指針
本の紹介
  • 浅井 成海 (あさい なるみ)
  • 梯 實圓 (かけはし じつえん)
  • 出版社・取扱者 : 自照社出版
  • 発行年月 : 2009年11月1日
  • 本体価格 : 本体800円+税

浄土真宗に気づかせていただく世界(浅井 成海)
六字釈のこころ(其の二)-発願回向釈-(梯 實圓)
あとがき(赤井 秀顕)

本書は、浄土真宗の教えに精通した2名の講師による法話の記録である。

前半は浅井成海・教学伝道研究センター所長(龍谷大学名誉教授)が、浄土真宗の世界観について語っている。浅井氏は、仏教のご縁に出あうことによって、人生を「勝つか負けるか、成功したか失敗したか」(13ページ)という二項対立的な考え方とは違った見方に気づかされることや、だれもが避けることのできない「死の問題」をも乗り越え、力強く生き抜く道が明らかになることを説いている。

後半は梯實圓・本願寺派勧学が、「南無阿弥陀仏」の六字名号にこめられた深い意味について詳述している。この中で、「南無阿弥陀仏」の名号について、親鸞聖人の解釈をもとに、阿弥陀如来が「私どもを浄土へ生まれさせようと願い(中略)念仏を恵み与えてくださる」(76~77ページ)と述べて、論を展開している。特に阿弥陀如来の願いが人生観を転換させることを強調しており、念仏者自らの生き方が問われてくる内容となっている。


評者:前田 壽雄(教学伝道研究センター研究員)


掲載日:2010年3月10日