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お寺ごはん
本の紹介
  • 青江 覚峰 (あおえ かくほう)
  • 出版社・取扱者 : ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発行年月 : 2012年11月13日
  • 本体価格 : 本体1,100円+税

はじめに
序章 料理の基本
第一章 前菜
第二章 汁物
第三章 豆腐
第四章 焼き物
第五章 揚げ物
第六章 煮物
第七章 酢の物
第八章 ごはん
第九章 鍋
第十章 デザート
巻末附録 手づくりだれ(ソース)
KAKUさんのおすすめ食材
おわりに

本書は、「暗闇ごはん」をはじめとする食に関する様々な取り組みで知られる著者による、待望のレシピ本である。紹介される料理はすべて、肉や魚を使用しない、いわゆる精進料理であるが、寺院に伝わる伝統的なものだけでなく、一般家庭でも楽しめるようにアレンジされた料理が数々含まれている。「ブロッコリーのポタージュ」「豆腐とトマトのグラタン」「お寺でつくったカポナータ」などは、西洋料理かとみまがうほどである。また、ブッダ(釈尊)が苦行のあとに口にした乳粥の再現や、最後に食した「スーカラマッタヴァー」にちなんだきのこ料理も興味深い。

本書では、レシピのほかに「メモ」として、各料理にまつわる仏教関連のミニ情報も披歴されている。さらに、揚げ物は「音」を聞き分けることが肝要とし、「これは、自分の心とからだがととのい、落ち着いていてこそ、聞える音です」と説かれるなど、仏教と料理とが極めて密接な関係にあることを教えてくれる一冊でもある。


評者:石上 和敬(武蔵野大学准教授、浄土真宗本願寺派総合研究所委託研究員)


掲載日:2013年1月10日