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歎異抄のことば
本の紹介
  • 玉木 興慈 (たまき こうじ)
  • 出版社・取扱者 : 本願寺出版社
  • 発行年月 : 2015年6月1日
  • 本体価格 : 本体700円+税

はじめに
第一条①
第一条②
第二条①
第二条②
第三条①
第三条②
第四条
第五条
第六条
第七条
第八条
第九条①
第九条②
第九条③
第十条
第十三条①
第十三条②
第十三条③
後序①
後序②
後序③
流罪記録
あとがき

『歎異抄』は、親鸞聖人が常日頃語っていた言葉を、門弟の唯円房によってまとめられたとされる書物である。そのためしばしば『歎異抄』が親鸞聖人の教えそのものであるかどうかの議論が交わされることがある。本書は、著者の恩師である岡亮二氏の「ある人が講演をし、他者によって要約されるとして、その聞き手もまた優れている場合、その要約は、講演者以上に、講演者の心を表現することがある。『歎異抄』とはまさにそのような書」(5ページ)という理解を紹介する。本書から、読者として書物の、聞き手として話者の心を伝えようとする姿勢が見受けられるのであり、恩師の言葉に導かれた著者の姿を読み取ることができる。本書が『歎異抄』を題材としたことによって、そのことがより映え出ているようにも感じる。

また、本書は『歎異抄』の全文を解説したものではなく、『歎異抄』から22の文を取り出し、著者の大学教員や僧侶としての経験談、あるいは実生活での出来事などを通しながら、親鸞聖人の教えを味読することで、そのわかりやすさと親しみやすさがにじみ出た一冊となっている。


評者:前田 壽雄(浄土真宗本願寺派総合研究所上級研究員)


掲載日:2016年12月13日