- 出版社・取扱者 : 筑摩書房(ちくま新書)
- 発行年月 : 2014年11月10日
- 本体価格 : 本体800円+税
目 次 |
はじめに 第一章 インドの大地と自然―思想と宗教を育んだ風土 第二章 インダス文明と原ヒンドゥー教―半乾燥地域の先史文明 第三章 アーリヤ人の侵入とヴェーダの神々―モンスーンとの出会いと衝撃 第四章 ウパニシャッドから仏教・ジャイナ教へ―ガンジス平原と森林の思考 第五章 仏教と雨―修行者の暮らしと教団の成立 あとがき |
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日本とインドは2012年に日印平和条約締結60周年を迎えた。両国はグローバルパートナーとして、政治と経済の両面で交流を深めている。多くの日本人にとって、インドはそれほど遠くない国であることだろう。ただし、日本とインドは同じアジア圏に属しているとはいえ、地理的には近隣国というわけではない。それにも関わらず、こうした長年の友好関係が続いているのは、仏教を通じた文化的交流が古くからあり、それが日本人の感性の一部として根付いてきているからである。
本書の著者は東北大学大学院教授で、インド思想史・文化史、南アジア地域研究、環境思想を専門としている。インドという国が実際、どのような自然環境にあり、どのようにして国が成り立ち、どのような思想を人々が持っているのか、紀元前3000年頃、インダス文明に先立つハラッパー諸文化の時期にさかのぼり、本書は明らかにしていく。仏教を通じてインドを身近に感じる日本人であるが、本当はインドのことをよく知っているというわけではない。しかし、本書を読み進めるならば、インドという風土において成立した思想が、なぜ日本人にとっても受け入れやすいものであったのかが分かるだろう。
カレーを食べたことのない日本人は少ない。日本流にアレンジされたもので、老若男女を問わず人気の料理である。本場インドカレーを食べてみるならば、もっとカレーが好きになることは間違いない。
評者:伊東 昌彦(浄土真宗本願寺派総合研究所委託研究員)
掲載日:2015年8月10日