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ひらがなで読むお経
本の紹介
  • 大角 修 (おおかど おさむ) 編著
  • 出版社・取扱者 : KADOKAWA(角川ソフィア文庫)
  • 発行年月 : 2015年4月25日
  • 本体価格 : 本体680円+税

はじめに
【色即是空】南無観世音菩薩
【光において】南無阿弥陀仏
【時を超えて】南無妙法蓮華経
【聖句と歌】願文・誓詞・真言・御詠歌など
お経の言葉<小事典>

本書の構成として、まずはお経を唱えるということにスポットを当てたものとなっている。

一般的なお経の解説は、意味を知ることを目的としたものが数多く出版されている。もちろん、本書にも原文や意味の解説もついており、巻末には小事典もあることから、詳しくその内容を知ることもできる構成となっている。しかし、ひらがなで読みを大きく表記することにより、お経が読みやすくなっている。評者のよく知る「正信念仏偈」のページを見てみると、正確なフリガナを付すというより、耳で聞いた音をひらがなとしたといった印象を受け、声の出し易さという点に特化した”ひらがな”となっているように感じた。また、そのようなお経を声に出すということについて、読経や言葉という点に関するコラムも掲載されている。

お経を知ろうとした時に、言葉の難解さに苦労してしまうこともあるだろう。また、読経を聞きながら内容を理解することは難しいであろう。それに対して、本書は「読誦の声にこそ言葉の力がこもる」のであり、読誦の意義は、意味の理解に決して劣るものではない、ということを伝えてくれる一冊である。


評者:雲居 玄道(浄土真宗本願寺派総合研究所研究助手)


掲載日:2015年9月10日