- 出版社・取扱者 : 岩波書店(岩波新書)
- 発行年月 : 2011年8月19日
- 本体価格 : 本体720円+税
目 次 |
はじめに 序 仏陀 I 阿吽の呼吸 II 前世の因縁 III 愛の煩悩 あとがき |
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本書は、仏教にまつわる漢語を50取り上げ、その意味や由来などを解説したものである。第1章では音訳語、第2章では意訳語、第3章では訳語では括り切れないものが扱われている。
本書の特色は、これら50の言葉を「漢語」として扱っているところにある。仏教にまつわる日本語を解説する類書は数多くあるが、中国古典文学における用例に十分目を配った書籍は稀である。この点は、本書が、中国古典文学を専門とする興膳宏・京都大学名誉教授の手によるものであるところが大きい。また、日本の文学作品における興味深い用例も数多く挙げられており、目を引く。
インドに源流を持つ仏教は、様々な言語への翻訳を通して、世界各地へと伝えられてきた。だが、原語そのものの意味を、訳語で的確に表現することは、必ずしも容易ではない。本書は、そこに生れた差異に触れることにより、仏教という「異文化」に、古代中国の人々がどう向き合ったのかも明らかにしている。
評者:江田 昭道(教学伝道研究センター研究員)
掲載日::2011年11月10日