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日本的霊性 完全版
本の紹介
  • 鈴木 大拙 (すずき だいせつ)
  • 出版社・取扱者 : 角川学芸出版(角川ソフィア文庫)
  • 発行年月 : 2010年3月25日
  • 本体価格 : 本体933円+税

凡例

第二版に序す
緒言
第一篇 鎌倉時代と日本的霊性
第二篇 日本的霊性の顕現
第三篇 法然上人と念仏称名
第四篇 妙好人
第五篇 金剛経の禅
付録 新版に序す
注釈
解説(末木 文美士)

『日本的霊性』(初版1944年)は鈴木大拙の代表作の一つ。本書は『鈴木大拙選集』(大東出版社、1949年)などにも収録されているが、同選集への収録にあたり、第五篇「金剛経の禅」が削除されている。この版の題に「完全版」と付されているのは、同選集への収録にあたって記された「新版に序す」と、削除された第五篇をともに含んでいることを意味する。

書名にもある「霊性」とは「宗教意識」のことである。本書では、著者自身の禅体験などをもとに、日本における霊性(宗教意識)とは何かというテーマが追究されている。著者は、仏教の伝来によって日本的霊性が喚起され、そのもっとも純粋な姿が、禅と浄土思想という仏教的形態で顕現したと主張する。

この度の文庫化にあたっては、読者の理解に資するよう、末木文美士・国際日本文化研究センター教授による解説が収録されている。解説では、この名著の歴史的な意義・限界などが的確に示されており、本書を理解する上で非常に有益である。


評者:多田 修(教学伝道研究センター研究助手)


掲載日:2010年9月10日