- 出版社・取扱者 : 農山漁村文化協会
- 発行年月 : 2009年3月31日
- 本体価格 : 本体3,048円+税
目 次 |
はじめに 第一章 仏教僧による日中交流 第二章 奈良朝の仏教交流 第三章 大物入唐僧の栄光と成果 第四章 空海入唐の歴史的意義 第五章 空海に続く者たちの光と影 第六章 天台僧の活躍と矜持 第七章 唐朝の衰退と最後の入唐僧たち 第八章 唐から宋へ 年表 おわりに |
---|
日本に仏教が伝来して以降、多くの仏教僧が日本と中国を行き来した。本書は、そのような僧侶の活躍を解説した一冊である。飛鳥時代から江戸時代までを対象とするが、とくに平安時代を詳しく取り上げている。
平安時代の入唐僧として、とりわけ有名なのは最澄、空海であろう。その他にも、後世に名を残す僧侶は少なくない。例えば、霊仙(りょうぜん)は唐で経典訳出に携わり、皇帝から「三蔵法師」の称号を与えられた。円仁(えんにん)は唐で修学中に仏教弾圧に遭って国外追放となり、帰国後に旅行記『入唐求法巡礼行記』を著した。真如(しんにょ)法親王は日本から密教修学のために唐へ渡り、さらにインドを目指したが途上で消息を絶った。
本書は一般の知名度が高くない人物にも焦点をあて、その功績を紹介している。仏教僧の往来が、仏教のみならず、書道・華道・茶道・食文化などさまざまな面に影響を及ぼしてきたことを示すのも、本書の特徴の一つである。
評者:多田 修(教学伝道研究センター研究助手)
掲載日:2009年10月13日