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2022年度一緒に学ぼう 第7回「正信偈」⑦ 講座の内容

「一緒に学ぼう西本願寺のおつとめ」は、聖典に説かれている内容を学び、一緒に声を出して唱え方を学ぶ講座です。  
今年度は、「正信偈」を中心に学びます。講座は「座学」と「実践」の二部に分かれ、前半の「座学」の時間は、総合研究所の研究職員が、「正信偈」に説かれている教えの内容について解説し、後半の「実践」の時間は、おつとめを指導する専門講師が、合掌礼拝などの作法や「正信偈」のとなえ方についてやさしくお伝えします。

第7回『新制 御本典作法』「正信偈」第二種(十二礼の節)①

日時 2022(令和4)年11月29日(火) 10:00~11:30
会場 Zoom(オンライン開催)
講師 座学 塚本一真(総合研究所上級研究員)
実践 三上慧(本願寺式務部知堂)
人数 47名

当日の内容

【前回の質問への回答】

 前回のアンケートにて、「道綽決聖道難証」を「どうしゃく」ではなく「どうしゃっ」と発音したり、「業繋」を「ごうけ」ではなく「ごっけ」と発音するのは何故なのかというご質問をいただきましたので、この場を借りて回答させていただきます。

 本願寺派のおつとめには「伝承唱読音」という古くより伝承されてきたお経の読み方の指南があります。上記の「道綽決聖道難証」や「業繋」も、この「伝承唱読音」に則って「どうしゃっけっしょう~」や「ごっけ」と読まれてきました。

 近年では、福永静哉『浄土真宗伝承唱読音概説』(平成九年、永田文昌堂)にて詳しく解説されていますので、こちらを参考にもう少し踏み込んで回答したいと思います。

・「道綽」について(「ク」+カ行音)

  福永氏(同上164頁)によりますと「綽」の「ク」は、本来中国では「ku」ではなく「k」韻尾の音であるようです。そのため後ろ「決」の「ケ(ke)」の音と合わさることで「shaku ke」ではなく「shakke」と促音化して発音するように伝承されてきたと考えられます。

・「業繋」について(「フ」+カ行音)

  こちらも福永氏(同上149頁~150頁)によりますと、「業」は「ゴフ」と訓みますが、中国では「f」ではなく「p」韻尾の音を持ちます。このp韻尾の後ろにカ行の音(ここでは「ケ」)が接続すると促音化します。従ってここも「フ(p)」+カ行で促音化し、「ごふけ」ではなく「ごっけ」と読むよう伝承されてきたと考えられます。

【座学の内容】

  第7回目の座学では『正信偈』の中、「依釈段」源信章にあたる「源信広開一代教」~「大悲無倦常照我」(『新制 御本典作法』26頁~27頁)までの内容について学びました。

1.源信和尚とは(源信広開一代教 偏帰安養勧一切)

  源信(942-1017)和尚は天台宗の僧で、奈良県当麻にお生まれになられました。和尚は幼い頃から才覚に優れ、若い頃より学僧として頭角を現します。しかし母から送られてきた手紙を読み、名声を誇る自身のすがたを反省した和尚は、その地位を捨てて横川という比叡山の別所に隠棲されます。その後、源信和尚は四十四歳のとき、『往生要集』を撰述し、末代の凡夫に浄土への往生を勧められました。今の「正信偈」のご文も、『往生要集』の内容に沿いながら和尚のご功績を讃えられております。

2.浄土往生の因果(専雑執心判浅深 報化二土正弁立)

  ここでは、専修と雑修について示されます。はじめの「専雑」とは専修と雑修を指します。専修は南無阿弥陀仏の一行を指し、雑修はさまざまな雑多な行をおさめていくことです。源信和尚は浄土往生するにはこの二つの行があることを示されました。
 すなわち南無阿弥陀仏の一行をいただく行者(専修)は、阿弥陀さまの願いにかなっているから他力の信心をいただいており、雑修をおこなう行者は、「南無阿弥陀仏一つの救い」を誓われた阿弥陀さまの本願を疑い、自身をたよりにしているから自力の信心の行者である、と和尚は判別されました。
 そして、他力の信心をいただいた専修の者は真実の浄土である報土に生まれるが、阿弥陀さまの本願を疑う自力雑修の行者は、化土という仮の浄土に生まれていくことを明かされ、専修による往生を勧められました。

3.常に照らされる(極重悪人唯称仏~大悲無倦常照我)

  この四句では煩悩を抱えたまま生きる私たちと、その私たちを包み込む阿弥陀さまの慈悲について『往生要集』の言説をもとに讃嘆がなされています。私たちはあらゆるものごとを私のこころ(煩悩)を通して見てしまいます。煩悩によって私たちは阿弥陀さまを見ることができない。しかし、それでも我々を照らしてくださっているのが阿弥陀さまです。
 そのことを今、「大悲無倦常照我」との言葉によって示されています。

以上のことを、座学の時間で学びました。

【実践の内容】

 第7回目の実践の時間では、「新制 御本典作法」より「正信偈」第二種(十二礼の節)のとなえ方について学びました。以下にポイントを示します。なお、文中に( )で出される算用数字は、『新制 御本典作法』(本願寺出版社)のページ数を表しています。

1.全体に関わる事項

 ・ご文の左右にある墨譜は、音の高さをあらわしている。「帰」の横の墨譜は「ミ」の音(出音)。

 ・「来(らい)」など真名一字に対して仮名が二文字ある読み(二字仮名)は、一文字目を長く読み、二文字目を短く後ろにつける(「らー/いー」ではなく「らー/ーい」)。

 ・「十二礼の節」では、一句目から四句目までのリズムを基本的に繰り返していく。

 ・一拍で漢字一字をとなえる。

 ・『新制 御本典作法』の経本は、(ワル)の読み仮名を「立(りう)」など、割った音しか表記していないが、「十二礼の節」では割らずに発音する。

 ・また経本には何も書かれていないが、「帰命無量寿如来」は導師の独吟であるので注意。

 ・一番高い音が「ラ」まで(「法蔵菩薩因位時」の「因」など)上がる。少し高い音となるので、徐々に音が下がりがちになる。音をキープすることを意識する。

 ・段々テンポが上がってくると、皆が拍を取りにくくなる。一定のところで拍をキープすることを意識しておつとめする。

2.十二礼の節をとなえる上での注意点

 ・草譜や行譜のように「善導独名仏正意」(25)のところで一旦切らない。

 ・「弘教大師宗師等」(28)以降から読み方が変化するので注意。

 ・「ユルク」とある部分から拍が長くなるので、一字二拍を目安にゆるくとなえる。

 ・「道俗」の「道(どう)」の横に「ハル」とある。これは二字仮名「う」を発音してから音を上げることをあらわす。

 ・「同(どう)」には「カナ上げ」とあるが、これは、「どー」で音を上げてから二字仮名「う」を発音する。

 ・「斯(し)」の横にある「イロ」は「し」をとなえてから音を震わせるように、上から下に3回となえる。のどを震わせるように唱えるとよい。

 ・「受下(うけおり)」とは、前の音(母音)を受けて下りる。「高(kou)」は「こー/↓おーう」、「僧(sou)」は「そー/↓おーう」。下りたあとの音の方が長い。

 ・最後の「説」の「つ」は唱えない。

以上のことを実践の時間では学びました。

次回も、引き続き「新制 御本典作法」の「正信偈」について学んでいきます。ぜひこの機会にご参加ください。