- 出版社・取扱者 : 新潮社(新潮新書)
- 発行年月 : 2012年1月20日
- 本体価格 : 本体700円+税
目 次 |
まえがき 第一章 尼さんとは誰のことか−尼僧の歴史と現状 第二章 お寺と縁のない家に生まれた−在家の頃 第三章 仏縁に導かれて出家したものの−出家と得度 第四章 尼になるための修行−比叡山での日々 第五章 渡る尼寺は鬼ばかり−尼寺の虚像と実像 第六章 尼さんはつらいよ−尼僧をめぐる諸問題 第七章 今どき尼さんになる人−尼僧の傾向と対策 第八章 「ヤルシカ系尼さん」へのヒント−新・尼僧の生き方 あとがき |
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著者は、パーリ仏教の研究者で尼僧でもある勝本華蓮氏。著者は天台宗青蓮院門跡で得度した後、他宗の尼寺に入り、そこで尼僧生活を送った。その後、尼寺を出てマンションに引っ越し、現在は1人で研究・修行生活を送っている。その過程で自ら体験したことや、周りで見聞きしたことなどをもとに、尼僧の実態を詳細に書き記したものが本書である。
「尼になれば救われるとか、心穏やかに暮らせるのではないか」(17ページ)と考えている人は多いかもしれないが、実態は異なり、尼僧の日常生活は雑務に追われることが多く、人間関係のトラブルも少なくないようである。
それゆえ著者は、イメージと現実のギャップで失望しないよう、尼になりたいと考えている人に再考を促しつつ、「私は尼さんになることを積極的には勧めない。(中略)でも心のどこかでは、気概のある尼僧さんが増えてくれることを願っている」(あとがき)と述べている。
評者:鈴木 健太(浄土真宗本願寺派教学伝道研究センター元研究助手、北海道武蔵女子短期大学准教授)
掲載日:2012年06月11日