- 出版社・取扱者 : 吉川弘文館
- 発行年月 : 2011年3月18日
- 本体価格 : 本体1,700円+税
目 次 |
さまざまな巡礼のかたちと四国遍路−プロローグ 四国遍路の思想 四国遍路の人びと 四国遍路の接待文化 四国遍路の現代的風景 四国遍路における不易と流行−エピローグ あとがき 参考文献 |
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「四国遍路」は、四国各県にある88か所の寺院を巡る、「日本を代表する巡礼」(1ページ)である。長い歴史を持つこの巡礼は、時代の変遷と共に新たな側面を取り入れ、今もなお多くの人々を魅了し続けている。
本書は、その四国遍路の研究者2名が、多様な側面からこの巡礼について考察したものである。四国遍路は近年、マスメディアで頻繁に取り上げられているが、本書の考察の対象は、そうしたブームの背景や、マスメディアではあまり触れられることのない側面などにも及んでおり、しばしば理想化された空間として語られる四国遍路の姿を客観的に紹介している。
なお、本書の考察は、「四国遍路」のみに関係するものではない。宗教的なものごとへの帰属を否定する傾向が強まる一方で、なぜ、四国遍路は今もなお多くの人を引きつけるのか?「遍路」の宗教性に焦点を当てた部分は、現代人の「宗教」との関わり方を考える上でも、示唆に富んでいると思われる。
評者:江田 昭道(教学伝道研究センター研究員)
掲載日:2011年5月13日