- 出版社・取扱者 : 文藝春秋(文春文庫)
- 発行年月 : 2009年8月10日
- 本体価格 : 本体695円+税
目 次 |
序文 白い山 (中略) 宇宙からの視座 あとがきにかえて 写真解説 |
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著者は、葬儀社での自身の体験をもとにした『納棺夫日記』を著したことで知られる。納棺の現場でたびたび不思議な光に出遇っていた著者は、やがて親鸞聖人の『教行信証』に出遇い、阿弥陀如来の不可思議光がその中心に据えられていることに驚く。本書は、著者が「もう一度あの光に出遇いたい」(22ページ)と思い、チベットの聖地・カイラス山へ巡礼した記録である。
著者はラサで寺田周明氏らと合流し、チベット人ガイドの案内によってカイラス山を目指す。チベット人の信仰を肌で感じながら、心に浮かんだことを親鸞聖人の言葉などによって確認していく姿は、その動機の純粋さと深さを伝えている。巡礼を終えた著者の、「慙愧の回心で己の愚かさに気づいて大いなるいのちに生かされて生きていると気づいたとき、それが再生だ」(304ページ)との思いは、まさに巡礼の成果を物語っている。
なお、本書は2004年に北日本新聞社より刊行された同名の書の文庫化である。
評者:伊東 昌彦(教学伝道研究センター研究助手)
掲載日:2009年11月10日