- 出版社・取扱者 : 人間の科学新社
- 発行年月 : 2013年7月10日
- 本体価格 : 本体1,200円+税
ホームレスの支援に活躍した僧侶を描いた絵本。話の舞台はアメリカのロサンゼルス。公園のベンチで、母親が幼い娘に話を聞かせている。娘が生まれる前、街には多くのホームレスがいて、そのときに1人の仏教僧が街の寺にやってきた(明示されていないものの、日本人であることがほのめかされている)。街の人々はその僧侶に「ホームレスの人はこわい」と、ホームレスを避けるよう話した。しかし僧侶はそれに疑問を持ち、「こわい」というのは自分の心の中から来るのだから、それをどうすれば克服できるかと考えた。そこで、ホームレスのいる道を掃除し始めた。毎朝掃除していると、ホームレスを「こわい」と思わなくなり、やがてホームレスの人々も掃除を手伝ってくれるようになった。掃除すると、時々ペニー(1セント硬貨、アメリカで一番金額の小さい通貨)が見つかるのでそれを拾い集めた(法律上問題ないとのこと)。ある女性ホームレスが「ドネーション(寄付)」と、貯めたペニーを寄付してきたこともあった。それをもとにほうきを買って、皆が使えるよう寺の前に置くようにした。その話を聞かせてもらった少女も、ホームレスを怖いという気持ちが薄れた気がした。
本書から学べることは、いろいろあろう。ペニーも存在価値があるのであって人も例外ではないということ、そして自分が心に弱さを抱えていると認めることの大切さと、一歩踏み出すことでそれを克服できると教えてくれるように、評者は思う。