- 出版社・取扱者 : 光文社(光文社新書)
- 発行年月 : 2013年2月20日
- 本体価格 : 本体760円+税
目 次 |
まえがき 第1章 あるがままの生活が「道」なのだ 第2章 坐ればいいってもんじゃない! 第3章 いつも自立した主体であれ! 第4章 自分の心こそが仏である 『馬祖語録』原文 あとがき |
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本書では、中国におけるはじめての禅問答集である、馬祖道一(709~788)の語録『馬祖語録』を中心に、禅問答とは何か、そしてそこから学べるものは何かを考えていく。
さて、「禅問答」を辞書で引いてみると「(1)禅宗の僧がおこなう問答、(2)何を言っているかわからない問答」といった解説がなされている。本書で紹介される原文を読んでみると、まさに(2)の通りで、確かに意味がわからない。例えば、問答に納得できず帰って行く質問者を馬祖が呼び止める、という場面が何度かある。しかし、振り返ると馬祖に罵声を浴びせられる。理不尽きわまりない。このような難解な本文に著者が現代語訳と解説をつけていく。
当然ながら、語録でテーマとされるのは仏教である。なかでも、仏とは何か、心とは何か、ということが中心となる。ただ、本書から学ぶことができるのは「考える」という行為自体なのかもしれない。著者は先行する研究者を「プロ」、自分を「アマ」とし、プロには勝てないとしつつも「アマにだって言い分はある」(あとがき)と、自身の読み方を紹介する。
私たちは会話をする際、そこで発せられる言葉の一つひとつを十分に考えているわけではない。しかし、そこには必ず意図が存在する。本書はそれを自分で考えることの大切さを教え、また、考え方のヒントを提供してくれているように思う。
評者:真名子 晃征(浄土真宗本願寺派総合研究所研究助手)
掲載日:2013年10月10日